歳をとるというのは厄介なものですよね。周りからは、年相応に物知りなどと思われたりして……。うっかり漢字の読み⽅なんか間違えたりしますと、とっても恥ずかしい思いをするなんてこともあるかもしれません。
脳の⽅は、若い時のようにパッパと記憶中枢からひっぱり出せなくなってきているかもしれませんが、「歳をとってきちゃって、なかなか思い出せなくて……」なんて⾔い訳をするようでは、サライ世代の沽券に関わる?
「脳トレ漢字」今回は、「外連味」をご紹介します。読み書きをしながら漢字への造詣を深めてみてください。

「外連味」は何と読む?
「外連味」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「けれんみ」です。
『小学館デジタル大辞泉』では「はったりを利かせたりごまかしたりするようなところ」とあります。「外連」を「けれん」と読むことに驚かれた方も多いのではないでしょうか。実はこの言葉、歌舞伎の世界で生まれた専門用語が一般にも広まったものなのです。
「外連味がある」といえば、「奇抜で人目を引く工夫がある」「はったりや誇張があって面白い」、反対に「外連味がない」といえば、「飾り気がなく、地味で素朴だ」という意味ですが、近年はそれが「誠実である」という肯定的な意味で使われます。
「外連味」の由来
「外連」とは、もともと歌舞伎用語で舞台上で観客を驚かせ、楽しませるための趣向や仕掛けのことを指していました。早替わり、宙乗り、屋体崩しなど、視覚的な驚きを与える演出技法がこれにあたります。
なぜ「外連」という漢字が当てられたのでしょうか。実は「外道」に由来するという説が有力です。正統な演技の「道」から「外」れた、邪道の技法という意味合いがあったのです。しかし、江戸の観客たちはこうした派手な演出を大いに喜びました。
この言葉に「味」という字が加わって「外連味」となると、「そういった奇抜さや派手さを感じさせる雰囲気」という、より広い意味で使われるようになったのです。

現代の外連味
現代では、演劇の世界に限らず、様々な場面でこの言葉が使われています。たとえば、小説や映画の演出について「外連味たっぷりの展開」と表現したり、プレゼンテーションの手法を「外連味のない堅実なアプローチ」と評したりします。
特に創作の世界では、この「外連味」のバランスが作品の個性を左右します。過度に外連味があると「わざとらしい」と感じられ、まったくないと「地味すぎる」と思われてしまう。適度な外連味こそが、人を惹きつける魅力になるのです。
余談ですが、歌舞伎では「外連味」を嫌う演目もあります。世話物と呼ばれる庶民の日常を描いた作品では、リアリティが重視されるため、派手な演出は控えめです。一方、時代物と呼ばれる歴史劇では、外連味たっぷりの演出が観客を沸かせます。
***
いかがでしたか? 今回の「外連味」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 江戸の人々が愛した「はったり」の美学は、現代でも私たちの表現を豊かにしてくれる言葉として生き続けています。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











