兄夫婦の同居で賑やかになった実家。そこに仕事を辞めた自分が出戻ることになり
兄が結婚して2年ほど経った時、母親から兄家族と実家で同居することになったと報告を受けます。
「当時義姉は子どもが生まれたばかり。将来家を建てるために貯金をするという理由で実家での暮らしをしたいと言ってきたそうです。実家は東京の郊外だけど、一軒家で部屋も余っていました。私の両親も初孫がかわいかったのか、『ここに住めばいいのに』とよく口にしていたようなので、私は良かったと思っていたんです。兄は長男で、両親と住んでくれたら私も安心だし、義姉は義実家に暮らしてくれるなんてとてもできた嫁だと、感謝していたくらいです」
当時営業職をしていた藍子さんはノルマが厳しく、自分のことで精一杯だったとのこと。そして、激務がたたり、仕事を休職。両親から強制送還というかたちで実家に出戻ることになります。
「体がしんどいのに、明日の仕事が気になって眠れない。そんな毎日でした。その時に過食気味になってしまって、10キロ近く太ってしまいましたね……。そこからは軽いセクハラを受けていた上司から手の平を返したようにパワハラを受けるようになり、会社に行くために起きると、吐き気に見舞われるような毎日でした。そして、ついに行けなくなってしまって、休職後にそのまま仕事を辞めることになりました。会社の近くで暮らす意味がなかったので、両親の意向もあって実家に戻った感じです」
会社を離れたことで藍子さんの体調はみるみるうちに復調していきます。家にいた姪の面倒を見たり、最初の頃はとてもリフレッシュできたとのことですが……。
「体調が良くなったら、実家で何もしていない自分がいたたまれなくなり、率先して家事などをやるようになりました。母親や当時は義姉も専業主婦だったこともあり、毎日ずっと顔を合わせていて、私は仕事を再開するために、朝型の生活に戻そうと朝食の準備を担当するようになりました。そして、仕事を再開してから朝食の準備は母親だけがすることになりました。義姉は起きてこなくなったんですよ。私が2人の家事のバランスを崩してしまったんじゃないかと、最初の頃は本当に申し訳なく思っていました」
次々と家の仕事を母親にシフトしていく義姉。しかし我慢しろと言ってきたのは母親で……。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。