
マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の用語や問題を解説するシリーズ。今回は、インプットした知識を成果につなげるマネジメントを取り上げます。
はじめに
本を読み、セミナーに通って知識を蓄えることは素晴らしい習慣です。しかし、「なるほど、わかった」という知識の習得だけで満足し、実際の行動が変わらなければ、組織における成長はそこで止まってしまいます。
現実の行動を伴わない「わかったつもり」の状態自体には価値はありません。重要なのは、得た知識を活用して「行動をどう変えるか」です。インプット過多の罠から抜け出し、学んだことを即座に行動へと繋げるための思考法と実践術について解説します。
インプット過多の罠とは?
株や競馬の経験者ならよくわかるかもしれませんが、情報は多ければ多いほど良いとは限りません。むしろ情報が過剰になると、人は迷いが生じ、決断を下せずに決定的なチャンスを逃してしまいます。
情報や知識は強力な武器になりますが、その量が許容を超えて消化不良を起こした場合、脳は思考停止状態に陥り、かえって行動ができなくなります。「成長」とは、現状の自分に足りない「不足」を埋めるための具体的な変化を指します。その不足を埋めるのは「知識」そのものではなく、知識をもとにした「行動」です。知識単体では成長できないと言い切れる理由は、行動を伴わないインプットは不足を埋めるためのエネルギーとして機能していないからです。つまり、セミナーに行って話を聞き、「成長した」「自分は変わった」と思うのは錯覚なのです。
インプットの後に必要なことは?
インプットを単なる「情報の蓄積」で終わらせないためには、即座にアウトプットさせる必要があります。組織運営の中で、得た知識を「経験として紐づける」ことが不可欠です。なぜなら、情報や知識は自分の手で実行し、結果を確認するまでは「事実」ではないからです。
世の中にある情報の多くは、過去の成功事例であったり、異なる環境下での理屈であったりします。それが「今の自分」や「自分の置かれている環境」で通用するかどうかは、実際に試してみるまで誰にも分かりません。事実であるかを確認する唯一の方法、それがアウトプットです。アウトプットすることでしか、その情報が有効なのか、あるいは修正が必要なものなのかを判断することはできません。この「事実確認」のプロセスを高速で回すことこそが、学びを成果に変える最短ルートとなります。
なぜ人は変わらないのか?
人は知識を与えられるだけで行動を変えることはできません。理詰めで言葉巧みに行動を誘導しようとしても、その場では納得したように見えて、結局行動に移せないのが現実です。これがいわゆる「腹落ち・納得」ができていない状態です。
子供の頃、親に勉強の大切さを一生懸命説明されても、自分から率先して勉強できなかった経験はないでしょうか。自分が大人になり、苦労を経験すると、かつて親に言われた通りに自分の子供へ勉強を促すようになります。ところが、子供もまた過去の自分と同じように動けません。これは、親は人生の過程で「勉強の重要性」に気づけたからこそ思考が変わったのであり、未経験の子供が言葉だけで本質を理解するのは不可能だからです。最終的には、上司や親が権限を行使し「いいからやりなさい」と行動を強制し、実際にやらせることでしか、本人に自ら気づきを与えることはできません。
頭でっかちな人は、他人の経験を知識として取り込むことで「やったつもり」になりますが、自ら経験し続けることだけが、真の思考変化を生むのです。
組織を成長させるためには?
なぜ、これほどまでに変化を求めなければならないのでしょうか。それは、組織が存続するためには社員の成長が必須条件だからです。社会が刻一刻と変化している以上、現状維持を選択することは、会社にとっても社員にとっても相対的な「衰退」を意味します。
組織が持続的な成長を目指すなら、社員の成長は避けて通れません。知識をインプットしたりセミナーを受講させたりすることは育成の第一歩ですが、それだけでは組織の数字は変わりません。重要なのは、得た知識を現場での「経験」へと結びつけるマネジメントです。学んだことをどう業務に反映させるのか、どのような行動変化を求めるのか。知識の提供とセットで「経験の機会」をデザインしなければ、組織としての成長は実現しないのです。
経験しなければいけない環境を作る
経験し、成功と失敗を繰り返すサイクルを止めてはいけません。その経験を積み重ねる過程で、新しい知識やきっかけが加わることで、本当の変革が起きます。知識はあくまで変化の「きっかけ」に過ぎず、きっかけだけでは現実は動かないのです。
では、どのようにして経験を積ませるのか。言葉の説明で人を納得させることは困難である以上、強制的に経験をさせる「環境」が必要です。
具体的には、明確なルール、期限付きの目標、徹底した管理体制、そして公正な評価制度の構築が必須です。 正しく経験づけることができているかをチェックし、成果を出すための正しい習慣を身につけさせる。あるいは、適度な危機感を感じながらPDCAを回せる環境を整える。
人間は放っておけば楽な方へ流れる弱さを持っています。セルフマネジメントは理想ですが、組織としてマネジメントシステムによるサポート(仕組みによる強制)があるからこそ、人はコンフォートゾーンを抜け出し、大きく成長できるのです。
まとめ
変化し続けるために必要なことは、以下の5つです。
1.インプットだけでは迷いが生じ、行動阻害が起きる
2.変化するためにはアウトプットによる事実確認が必要
3.真の納得や思考変化を得るには、実体験というプロセスが必要
4.社員の成長こそが、組織が存続するための絶対条件である
5.個人の意志に頼らず、経験を強制する仕組みや環境を作る
人の成長や変化は、知識という情報の点だけでは実現しません。必ず「経験」という線が必要です。経験づけることで自ら気づき、初めて思考変化が起きます。また、会社も変化し続けなければ生き残れません。成長のための育成には、インプットとしての教育と同時に、成果を最大化させるための「経験づける環境設定」が不可欠です。社員が学び、成功と失敗を繰り返し、自ら工夫しながら前進できる環境こそが、組織に最大の利益をもたらします。
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