母親は離婚の1年後に実家で同棲を開始。家が実家でなくなった
姉が出て行ってから両親のケンカを聞くことは一切なくなったと言います。しかしそれは仲が良好になったのではなく会話を交わさなくなっただけでした。
「姉のいなくなった部屋に母親が移ることになって、前までは夫婦一緒に居間で寝ていたのに別々に過ごすようになったんです。それから晩ご飯の片付けを終えると母親がすぐに自分の部屋に籠るようになってしまって。その頃には私も反抗期に入っていて、2人の仲を取り持つような行動もしなくなっていたので、家族というより、同居しているだけという感じでしたね」
佳奈さんもお姉さん同じく、高校を卒業後に就職を選択。あるファッションブランドの販売員として働き始めた後も3年間は実家で過ごします。そして、一人暮らしを始めて2年後の連休に帰省した時、両親から別々に離婚を報告されます。
「一人暮らしを始めたきっかけは、姉のように仲が悪くなったからではなく、勤務先が異動になり、通勤が大変になるからという理由です。その頃には私も親から注意を受けることもなくなっていたから実家でも自由に生きていて、居心地はそんなに悪くなかった。親が会話しないのにも慣れてしまっていたんです。
両親の離婚を報告されたのは、9月の母親の誕生日目前。実家に帰省した時に別々に聞かされました。嫌だというより、まぁそうだろうなって。ただ報告を聞くだけで、反対は一切しませんでした」
実家には母親が残り、父親が家を出ていきます。すでに一人暮らしを始めた後ということもあり、佳奈さんの生活に大きな変化はなかったそう。しかし、その1年後、母親が実家で男性と同棲を始めます。その時が一番の衝撃だったと振り返ります。
「何の報告も受けていなかったので、帰省したら知らないおじさんがいて、びっくりしました。お相手は母親よりも5つ年下で、完全な同棲ではなく、別の家があるみたいなのですが、50代の大人がこんな関係になるのかと、衝撃でしたね。お相手は実年齢よりも若く見えて、未婚とのこと。母親は騙されているのかもと不安にもなりました」
同棲を3年ほど続けた後、母親は再婚。ずっと住んでいた団地を離れ、母親は新婚生活をスタート。自立したものの、実家と呼べる場所がなくなった時に感じた思いとは。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。