取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

夫との付き合いは高校生から。家族の話はタブーだと思っていた

今回お話を伺った、泰子さん(仮名・41歳)は、25歳の時に高校の同級生と結婚、現在は都内にある2人のマンションで生活をしています。泰子さんは29歳の時から義家族と絶縁状態に。当時は夫が味方についてくれたこともあり、疎遠になった後10年ほどは幸せに暮らしていけたと言いますが……。

「彼の家は義両親の折り合いが悪く、籍は抜いていないもののほぼ別々に暮らしているようで、義母はお金にルーズなところがありました。付き合っている時からお金を無心されることもあって、私の両親は結婚にやや難色を示していました。でも、夫が母親よりも私を選んでくれて。夫とはずっと仲良く暮らしていけると思っていました」

泰子さんは千葉県出身で、両親と3歳下に弟のいる4人家族。泰子さんが小さい頃の両親はケンカの絶えない関係だったものの、年を重ねるごとに仲は良好になっており、今は2人でよく出かけることも増えたと嬉しそうに語ります。

「昔は……、言い合う声で目が覚めることもよくあって、当時二段ベッドで寝ていた私たち姉弟は、言い合う声で目が覚めてしまった後はよくどちらかのベッドに集まって一緒に寝ていました。今はまったく面影がないくらいに大柄な男に成長してしまった弟なんですが、当時はかわいかったんですよ。今は両親のことで弟と連絡を取り合うくらいですが、関係はうまくいっています。両親も今が一番仲がいいんじゃないですかね。父親が定年を迎えて、よく熟年離婚とかに陥るタイミングと言われるけど、両親は『48都道府県を全て制覇する』と、年に2〜3度のペースで国内旅行に出かけています。両親が仲良しなので、何かあってもまだ安心というか、子どもは自由にさせてもらっています」

一方夫の家族は昔から良好ではなかったとのこと。旦那さんとの出会いは高校時代で、当時から複雑な家族関係を目の当たりにしていたそう。

「高校2年生の時に同じクラスになり、そこから付き合いだしたので、夫の家には当時からよく遊びに行っていました。お義父さんには学生時代は一度も会ったことはなくて、お義母さんとは顔を合わせても挨拶をするくらい。夫には3歳上にお姉さんがいるんですが、目が合っても挨拶もしてくれないような人で、昔からすごく苦手でしたね。夫自身も父親のことを“あの人”と呼んだり、毎日アルバイトをして家に晩ご飯がないからまかないを食べて帰っていると言っていたことを覚えています。夫は当時から家族の話をしたがらなかったから、私も自分の家族の話はあまりしませんでした。なぜか悪い気がしていたんですよね」

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