親戚の子にも躊躇なく手を出してくる伯母。我が子を引き合いに非難され続けた
従姉妹の一家と常に一緒だったと聞くと、賑やかで楽しそうな印象を受けます。しかし、ピリピリしている場面も多かったそう。
「母親もそうなんですが、特に伯母がすごく高圧的な人で。私のことも自分の子供みたいに、怒る時に手をあげられることが日常茶飯事。それに何かを注意する時には自分の娘と比べて私を非難するんです。『●●ちゃんはそんなことしない』『なんであんたはみんなができることができないの!』とかをよく言われていました。いつからそう思ったのかは覚えていないんですが、私は本当の娘じゃないのに何で手まであげられないといけないのか、自分の娘を他人の前で褒めて恥ずかしくないのかって思うようになっていました。それに母親に対しても、私が手をあげられて泣いているところを見ても一度も庇ってくれなかった。あなたの娘が他人から手をあげられているんですよ!ってどんなに顔で訴えても、我関せずみたいな態度で……。すごく傷ついていたことを覚えています」
小学生の頃から徐々に伯母との距離を取ろうとしていたという梢さん。伯母のことが大嫌いになったあるエピソードを教えてくれました。
「私が小さい頃に学校でシールや折り紙を集めることが流行った時期があって、私も当時少女漫画の付録についていたファイルなどに挟んでコレクションしていました。そんな私に伯母は、一緒に折り紙をして遊んでいた時に『一番気に入っている折り紙をちょうだい』と言ってきました。私が嫌だって言うと、『自分が好きなものを人にあげるのは当然。遊んでもらっているのだから』と。折り紙の中で1枚しか入っていない、金の折り紙を取られました。“遊んでやっている”とか、子供相手に言いますかね……。その時に私は泣いてしまったんですが、その時も従姉妹の名前を出して『●●ちゃんはこんな時も笑顔でくれるのに』と引き合いに出してきましたからね」
中学、高校になっても続く伯母の干渉、そして姉の言うことが絶対という態度の母親。勉強に対してはさらに複雑なものがあったそうです。
「3人の中で一番勉強ができたのが私だったんです。だから伯母は私に強く言えないところがあったんでしょう。そんな時には自分の娘たちを叱る時に私のことを引き合いに出していました。でも、『梢ちゃんでもできるのだから』と皮肉を入れて。その頃には嫌いという感情を隠しながらどのように接したらいいのか、まったくわからなくなっていました」
梢さんの中には『本当の親じゃないくせに』という思いがつねにあり、伯母との関係は複雑化していきます。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。