「友人の紹介で知り合った同い年の男性と付き合っていて、2年目に同棲を始めたんです。もちろんお互いの親にも挨拶したし、結婚も前提でした。でも、何年経ってもプロポーズはなくて、挙句には他に好きな人ができたと振られたんです。破局時は両家入り乱れての話し合いになりましたし、慰謝料もいただきました。彼が家を出て行ったのでしばらくは同じ家で一人暮らしをしていたんですが、ちょっと眠れなくなったり、体調を崩してしまって。一度実家に戻ることにしたんです」

仕事を辞めるまでの不調ではなかった華弥子さんはそのまま同じ職場で働いており、長時間の通勤をすることに。その影響もあり、少し痩せてしまったことで母親からの執拗な干渉があったと言います。

「約10年ぶりの実家は親との距離感がまったく掴めませんでした。実家に戻ったいきさつも両親には気を遣わせるものだったようで、父親からは腫れ物のように、母親からは小さい頃はずっと弟のことばかりで私には見向きもしなかったくせに、大人になってから過干渉になってしまって……。反抗期と同じように母親のことを鬱陶しく思うのに、あの頃と違って、ずっと罪悪感みたいなものがつきまとうんです」

結局、華弥子さんが実家にいた期間は3か月ほど。母親のことをこれ以上嫌いになりたくなかったと語ります。

「色々聞いてくる母親に対して、少しキツイ言い方で返してしまうことが増えました。少し痩せてしまったことで、会社にいる時に食べているものなども聞いてくるようになって。母親からしたら心配してくれているのに、どうしてもイライラしてしまうんです。他の人から聞かれてもきっとこんなにイライラすることはないはずです。母親を突き放してしまうくせに、1人になった時になぜ優しくできなかったのかと、後悔と罪悪感に襲われます。母親のこともそうだけど、これ以上一緒に暮らしていたら、自分のことも嫌いになりそうでしんどかったんです」

華弥子さんは一人暮らしに戻ってからも母親と距離を取っていたと言います。その後、仲が修復されたのは、結婚で別の家庭を持ったからだとか。

「無理に距離を作る必要がなくなって、今はイライラすることはありません。なぜあんなにキツくあたってしまっていたのか、今でも原因はわかりません。幼少期に構ってもらえなかったことが原因だとはどうしても思いたくないから」と語ります。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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