取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。(~その1~はコチラ)
今回お話を伺ったのは、大阪市内で5歳の子供を育てながら時短勤務を行う、兼業主婦の華弥子さん(仮名・38歳)。大阪府出身で、両親と8歳下に弟のいる4人家族。華弥子さんは共働きの両親の下で育ち、小さい頃の面倒は母方の祖母が見てくれていました。家に居る時の母親は8歳下の弟にベッタリ。高校生では反抗期もあり、家族との会話はほぼ無くなっていたようで……。
「反抗期が始まる前は特に不仲ということはなく、両親とも仕事人間だったんですが、学校のことなどを報告する家族との時間はありました。反抗期は高校生から。当時は携帯が出たばかりの頃で買い与えてもらっていたにも関わらず、家からの着信があるだけでもイライラしてしまっていました」
一人暮らしをして、親が今までしてくれていたことが当たり前じゃないと知った
華弥子さんは大学進学後も実家から通い、その後は反抗期も落ち着いてきたとか。しかしその頃には家族で出かけることもなくなっていたそうです。
「同じ家で暮らしているだけ、といった状態でした。両親と弟の3人だけでご飯を食べに行くこともありました。でも、それについて何かを思っていたわけではなくて。強制されるほうがきっとしんどかったんじゃないかな。最初の頃は母からメールで一度は『一緒に行く?』と聞かれていたんですが、断り続けると誘われなくなりましたね(苦笑)。でもよくお持ち帰りで私の分を買って帰ってきてくれていました」
大学卒業後は府内の建築関係の企業へ就職。実家から通うには通勤時間がかかり過ぎるということで、祖母の援助もあり一人暮らしがスタートします。
「一人暮らしを始めて、親のありがたみが本当によくわかりました。実家だと冷蔵庫を開けると何かしらの食べ物は入っているけど、一人暮らしは当たり前なんですが、自分が買って来ないと入っていない。洗濯物もたまっていく一方だし、部屋もどんどん汚れていく。それに、実家では最初に帰宅することなんてなかったから、真っ暗な家というのがこんなにも孤独を感じるものなんだなって気づいたり。一人暮らしを初めてから両親との関係も良好になった気がします。たまにしか会わないからお互いにケンカモードにならないんですよね」
母親の干渉が鬱陶しくてキツくあたってしまうことも……
27歳の時に結婚を前提に付き合っていた男性と同棲を開始します。しかし、31歳の時に破談となり、実家に戻ることに……。
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