英語を話せるようになりたい思いから、進学校を目指すことに。中学時代は勉強漬けの毎日だった

仕事で忙しくしていた両親からは厳しく躾けられた記憶はないとのこと。栞さんは学校の成績が良かったこともあり、勉強への口出しもなし。忙しい両親に代わって勉強も祖父母が見てくれていたと言います。

「小学生の頃は公文をやっていて、家での勉強を見てくれていたのは祖父母でした。預けられていた週末によく一緒にやってもらっていましたね。私は計算がすごく苦手で、最初の頃は九九の勉強の時に自分の手足の指を使ってじゃないとできなくて(苦笑)。でも掛け算なので全然自分の指だけじゃ足りないんですよ。だから祖母の指を無理矢理に使わせてもらっていました(笑)。祖父母はすごく優しくて、大好きでしたね。

両親はテスト結果など成績をちゃんと見てくれてはいました。でも私は算数がちょっと苦手なだけで他の教科はできるほうだったので、両親から何かを言われたことはありません。まぁ数学が気になったのか、近所にあった公文に通ってみたらと言い出したのは母親だったんですけどね」

栞さんは中学に入学した頃にある夢を持つようになり、その夢をかなえるために高校は普通科ではない専門科を目指すことに。その受験に向けて、勉強漬けの毎日を送ることになります。

「英語を使う仕事に憧れを持つようになり、県内にある高校の国際教養科に行きたいと思いました。国際教養科には学校在学中に留学も可能だったし、制服もかわいかったから。でも、そこは偏差値が高くて、このままでは絶対無理だったので、中学時代は必死に勉強をしましたよ。中学になると祖父母の家に行くこともなくなっていたので、休日は朝7時に起きて、ご飯以外はすべての時間を勉強に費やしていました」

高校受験では塾に通っていたそうですが、その塾が原因で体に不調が表れます。しかし、その塾をやめたいと栞さんは最後まで両親に言い出すことはできませんでした。その理由はというと……。

「その塾は、地元で評判の老夫婦がやっているところで進学塾より授業料がすごく安くて、お金の負担が少なくてすむところだったからです。別に家は貧しくなかったし、なぜそんなことを気にしていたのかわからないんですが、経済的に親の負担になることが嫌でしたね。

その塾は毎日テストがあって、90点以上じゃないと答案用紙を破られるんです。しかも目の前で、採点中に……。その行為を毎日見ていたせいなのか、寝ている時に歯ぎしりをするようになったみたいで、結果、歯が数本かけてしまいました。でも、勉強はしっかりと教えてくれたので、受験が終わるまで通い続けました」

受験の結果は……。そして英語の仕事を目指していた栞さんが両親と同じ理容師を目指すようになったきっかけとは。

~その2~に続きます。】

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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