取材・文/ふじのあやこ
家族との関係を娘目線で振り返る本連載。幼少期、思春期を経て、親に感じていた気持ちを探ります。~その1~はコチラ
今回お話を伺ったのは、都内にある美容と理容を併設するお店で理容師として働いている栞さん(仮名・21歳)。千葉県出身で、両親と2つ下に弟のいる4人家族。英語ができるようになりたいという思いから、進学校の国際教養科を目指すように。中学時代はまさに勉強漬けの毎日を過ごします。
「中学時代は時間があると勉強をしていました。人生であの時ほど勉強を頑張った時期はないんじゃないかな。塾のストレスから、歯ぎしりで歯がボロボロになっていても、勉強をやめたりはしませんでした。そのくらい、その高校に行きたかったから」
希望校に無事合格。合格発表の場で泣きながら両親と抱き合い喜んだ
ついに迎えた受験、そして合格発表。両親と3人で受験番号を見に行ったと言います。
「実は受験日に風邪をひいてしまって、後日の自己採点では不合格だったんです。だから合格発表を見る前からすごく凹んでいましたね。両親も気を使っているのがわかったし。
合格発表は車で、3人で見に行きました。父が車に残って、私と母親の2人で見に行ったんですが、結果は……合格していました!その場で母親と泣きながら抱き合って喜びました。それに車で待っていた父も我慢できなかったようで、車を路駐したまま降りてきちゃって。合格発表の場で3人で喜びを爆発させましたね(笑)」
念願の高校生活がついにスタート。在学中は留学も経験するなど、英語に触れる機会も希望通り増えていきます。そんな順風満帆の生活の中、ある違和感が少しずつ大きくなっていったそうです。
「学校は外国人、帰国子女、何か国語もすでに話せる人など、最初から話せるのが当然の人の割合が多くて。学校では毎日英語というか外国語の勉強の時間があり、ついていくのに必死だったけど、刺激がたくさんあって楽しかった。高校2年生の時には交換留学生として、オーストラリアに1か月ほど行くなど、留学も経験させてもらいましたし。
でも、どんどん英語の授業のレベルが上がっていって、英語が楽しくなくなっていったんです。誰かと英語で会話するのは本当に楽しかったけど、知識を広げていきたいのかなって疑問を持つようになっていきました」
【次ページに続きます】