ライターI(以下I):第21回では、前週、中宮定子(演・高畑充希)が突然自らの髪を切ったところから始まりました。
編集者A(以下A):髪を切るということは出家をするということです。出家といっても剃髪するわけではありません。とはいえ、一条天皇(演・塩野瑛久)とは会えないということになります。
I:藤原道隆(演・井浦新)の一家を中関白家(なかのかんぱくけ)といいますが、絶頂から転落までの軌跡がまるでジェットコースターのようで涙を誘います。
A:長徳元年(995)4月10日に関白藤原道隆が亡くなってからの流れを整理してみました。道隆の中関白家が絶頂から転落する軌跡は同時に道長(演・柄本佑)が急速に権力を得る過程になります。
二条第焼亡で悲劇の中宮定子
I:中宮定子の在所である二条第が焼亡する様子が描かれました。
A:長徳の変で内裏を退去せざるを得なくなった定子ですが、当初は内裏に近い職曹司(しきのぞうし)に移りました。ここは中宮や皇后の身の回りの世話をする役所ですから、役所に間借りしたことになります。ほどなくそこから二条第に移っているのです。
I:あれほど睦みあっていた一条天皇と「別居」する形になったのですね。伊周(演・三浦翔平)、隆家(演・竜星涼)らが起こした事件のとばっちりを受けた形になりますが、中宮定子が住んでいた二条第が火事に見舞われて焼亡することになります。
A:このとき焼亡した二条第といえば、『枕草子』260段「関白殿、二月二十一日に法興院の」で描かれる二条第が思い出されます。法興院はもともと藤原兼家(演・段田安則)の屋敷跡に建立された寺院です。道隆はその中に新たに積善寺という御堂を建て、供養するという日のことを描いた段。詮子女院や親王方を招いて中関白家の栄華を象徴する1日です。
I:時期外れの美しい桜が咲いていて、驚いてよく見たら造花の桜だったというエピソードが語られている箇所ですよね。二条第が炎に包まれる場面を描くのであれば、『枕草子』260段中関白家の栄華を描いてくれたら、より郷愁を誘うのではないかと。
A:こういう時は、脳内で再生するのがいいですよ(しみじみ)。井浦新さんの道隆ら中関白家が満面の笑みで栄華の時を楽しむ姿を思い描きつつ、それからわずか1年余りしか経っていない時期に起きた二条第焼亡の場面につなぐと、中宮定子の境遇が本当に気の毒で……。
I:自然に涙がこぼれてきますよね。
【悲劇の中で、中宮定子の懐妊。次ページに続きます】