琵琶湖から越前入り
I:さて、京から越前に向かう行程ですが、逢坂山(滋賀県大津市)を経て打出浜(大津市)から琵琶湖を船で北上したようです。琵琶湖を船で渡っている様子が描かれましたが、当時、京から越前までは4~5日の行程だったようです。
A:劇中では描かれませんでしたが、道中紫式部が詠んだとされる歌が何首か伝わっています。そのうちの一首が「三尾の海に網引く民の手間もなく 立ち居につけて都恋しも」。現在の滋賀県高島市で詠んだ歌で、同市の白鬚神社に歌碑があります。網を引く漁民が忙しく働いている様子を見て、都が恋しくなったということを詠んだ作です。
I:おそらく漁業に従事する人々を初めて見たときに詠んだのだと思われます。なんだか胸に迫ってきますね。今ごろ言ってもしょうがないのですが、紫式部が船旅をした大津市から高島市までの船旅を楽しめる企画を期間限定でやって欲しかったなと思ったりしています(笑)。
A:劇中に登場するのはこの回だけですからね。なかなか難しいですよね。
I:そして、まひろは越前守為時(演・岸谷五朗)に同道して越前に向かいます。こちらについては、別項で詳報したいと思います。また1週、心して待ちましょう。
●編集者A:月刊『サライ』元編集者(現・書籍編集)。「藤原一族の陰謀史」などが収録された『ビジュアル版 逆説の日本史2 古代編 下』などを編集。古代史大河ドラマを渇望する立場から『光る君へ』に伴走する。
●ライターI:文科系ライター。月刊『サライ』等で執筆。『サライ』2024年2月号の紫式部特集の取材・執筆も担当。お菓子の歴史にも詳しい。『光る君へ』の題字を手掛けている根本知さんの仮名文字教室に通っている。猫が好き。
構成/『サライ』歴史班 一乗谷かおり