取材・文/鳥海美奈子
日本のワイナリー数は現在、約300にも上り、大変な人気を博しています。一方、ワイナリー数が増えるにつれて、「どのワインを選べばいいのかわからない」といった消費者の意見があるのもまた事実です。
「日本ワイナリーアワード」は、そういった声に答える形で、ワイナリーそのものを格付けをしようと昨年、創設された賞です。
6月、その第2回目となる発表会と表彰式が行われました。審査委員長は東京・押上でワインバーとワインショップを手掛ける「遠藤利三郎商店」の遠藤利三郎さんです。
「ワインの銘柄をテイスティングし、評価するコンテストは非常に多いですが、そういうときに上位に入ってくるワインはもともと生産本数が少なく、手に入りづらいという特徴があります。そこでワインの銘柄ではなく、ワイナリーそのものを評価することで、多くの方がワインを買う一助になればと考えました」と語ります。
最高位は「5つ星」で、さらに「4つ星」と「3つ星」、専門家が選んだ興味深いワイナリーに与えられる「コニサーズワイナリー」と4段階のランクにわかれています。
その審査対象となるのは設立、またはぶどうの植え付けから5年以上経過したワイナリーで、今年は225に上りました。ワイン用の良質なぶどうを収穫できるのは、植樹から最低3年は必要といわれ、さらにはワインを熟成する期間も必要となるためです。
審査員は、世界のワインに精通するのはもちろんのこと、10年以上にわたり日本ワインを取り扱ってきた酒販店や飲食店のソムリエ、そして日本ワインに関する著作があるジャーナリストなどです。
審査基準は、品質のよい銘柄を多く持ち、収穫年に左右されずに、消費者が買える良質なワインを造っていること。ワインに複雑性や凝縮感があり、一貫した哲学が感じられること。そして、その地方ならではの風土を映したワインを造っていることなどです。
審査項目をそれぞれ10点満点で評価し、審査員の平均点が8点を超えるものが5つ星として評価されます。
その5つ星は、昨年は10ワイナリーでしたが、今年は15ワイナリーへと増加。北海道のドメーヌ・タカヒコと山崎ワイナリー、山形の酒井ワイナリーとタケダワイナリー、高畠ワイナリー。山梨の勝沼醸造、機山洋酒工業、サントリー登美の丘ワイナリー、ダイヤモンド酒造、中央葡萄酒、丸藤葡萄酒工業、メルシャン。長野の小布施ワイナリーとKidoワイナリー、大分の安心院葡萄酒工房です。
各生産者は、「とても光栄です。これを励みに、よりいっそう良いワイン造りに邁進したい」と喜びを語りました。
表彰式のあとはパーティも開催され、チーズプロフェッショナル協会の協賛により、日本ワインとの相性が抜群といわれる日本産ナチュラルチーズも供されました。
今、大きな盛り上がりを見せる日本ワイン。その世界がより成熟したものになるようと、格付けなど様々な試みが、始まりつつあります。
取材・文/鳥海美奈子
2004年からフランス・