個性的な生産者が多く登場し、質も向上していることから、注目が集まっている日本ワイン。各地の風土を生かした個性的なワインは、日本のみならず世界的にも評価が上がってきています。

そこで今回は、『サライ.jp』に掲載された、日本のワイン醸造所の記事をまとめてご紹介。日本ワインといってもブドウの品種から醸造方法までさまざま。各ワイナリーの今年の新酒も揃ってきました。お好みのワインを見つけて、秋の夜長を楽しんでみませんか。

電話番号や営業時間、価格などのデータは変更になっている場合がありますので、ご確認のうえご利用ください。

■日本ワインにおける、ピノ・ノワールの可能性を切り拓いたドメーヌ・タカヒコ(北海道)

赤ワインの王者といわれるピノ・ノワールですが、かつては原産地であるフランス・ブルゴーニュ以外では栽培できない、といわれたほど扱いにくい品種です。そのピノ・ノワールに人生を賭したのが「ドメーヌ・タカヒコ」の曽我貴彦さん。「ピノ・ノワールは生涯、興味の尽きない品種です。でも決して簡単ではないし、僕自身も器用ではない。そう考えて、ピノ・ノワールだけを栽培しようと決めた」そうです。

そのワインは、チェリーや黒スグリといった果実、そこにクローブやシナモン、ミントなどの香りが加味され、しばらく置くと香りはより開き、腐葉土やマツタケといったニュアンスが顔を出す、誰もが心に抱く懐かしい原風景が感じられる味わいを目指しています。

【日本ワイン生産者の肖像1】曽我貴彦さん(ドメーヌ・タカヒコ)|日本の風土に合うピノ・ノワールを求めて

■既存の型にはめるのではなく、自分たちの理想を追い続ける農楽蔵(北海道)

「自然の摂理にのっとって暮らし、自分たちが納得いくワインを造りながら、身の丈にあった収入を得つつ、最大限の幸福を感じて生きる」と語るのは、北海道北斗市文月地区でワインを造る「農楽蔵」の佐々木賢・佳津子夫妻。道南に位置する北斗市は夏は暑すぎず、秋が長いので、ゆっくりとぶどうの成熟を待つことができます。その気候のもと育てるシャルドネは、適熟よりも完熟気味を目指し、できるだけ遅く収穫しています。

そのワインは、身体になんの違和感もなく、するりと喉から胃腑へと滑り落ちていくような、自然体のご夫婦を体現したような味わい。あえてブドウの品種を書かないことで、先入観なしに楽しんでほしいという気持ちが込められています。

【日本ワイン生産者の肖像2】佐々木賢さん・佳津子さん(農楽蔵)|自然と調和した「北海道らしいワイン」を求めて

■欧州系ぶどうを日本でいち早く栽培し、土壌改良を進めたタケダワイナリー(山形県)

創業は1920年(大正9年)という日本でも有数の老舗「タケダワイナリー」。山形・蔵王連峰のふもとに広がる畑には、樹齢80年を数える棚仕立てのマスカット・ベーリーAの大樹の枝が、天井を覆いつくすように広がります。個人経営のワイナリーとしては、ヨーロッパ系ぶどう品種をいちはやく栽培し始めた先駆者でもあります。

そのワインは、もし日本ワインの選択に困ったら、タケダワイナリーのものを選べばいいと言えるほど、信頼に値します。なかでも注目は、近隣の農家のぶどうで造る「タケダワイナリー サン・スフル」。デイリーに飲める身体にやさしい、亜硫酸の少ない、ナチュラルなワインです。

【日本ワイン生産者の肖像6】岸平典子さん(タケダワイナリー)|創業100年の歴史を持つ老舗で、日本ワインの王道を突き進む女性醸造家。

■試行錯誤の末に自分なりの農法を確立したドメーヌ・オヤマダ(山梨県)

売れるワイン、他者から評価されるワインを造るつもりはない、人の嗜好や時代性に合わせるつもりもない。ただ、自分が望むワインを造りたいという、山梨県のドメーヌ・オヤマダの当主・小山田幸紀さん。志すのは日本の風土を表現したワイン造りです。

銘柄「Ça va?(洗馬)」の白赤は、古樽で1年熟成してからリリース。スパークリング「祝」は、ノン・ドサージュ、自然酵母のみで仕込んでいます。
※ノン・ドサージュとは、スパークリングを作る際に通常行われる、少量のリキュールを加えて糖分を補うドサージュをせずに仕上げるスパークリングのこと。

【日本ワイン生産者の肖像8】小山田幸紀さん(ドメーヌ・オヤマダ)|自分の人生や思想をワインに表現、その高い到達点を目指して~その1~
【日本ワイン生産者の肖像8】小山田幸紀さん(ドメーヌ・オヤマダ)|自分の人生や思想をワインに表現、その高い到達点を目指して~その2~

■日常の食卓にいつもあるワインを造ることを使命とした老舗キザンワイナリー(山梨県)

日本には現在、ワイナリー数が約400軒あり、そのうち約90軒が山梨にあります。その山梨は、江戸時代にはすでにぶどうの一大産地でした。明治3(1870)年頃、甲府で日本初のワイン造りが本格的に始まったとされ、明治政府によりワイン造りが奨励されました。それゆえ約100年もの歴史を持つワイナリーが山梨にはいくつか存在し、そのひとつが機山洋酒工業のキザンワイナリーです。

白ワインは甲州の特徴である柑橘系の香りに、グレープフルーツや柚子、そして白桃のような香りも感じ取れます。味わいの線は太くなくとも、明確な骨格を持ち、後味には甲州らしい渋みとフレッシュな酸があり、日常的な和食に寄り添ってくれるような味わいです。

【日本ワイン生産者の肖像9】土屋幸三さん(キザンワイナリー)|日本で約100年の歴史あるワイナリーを継ぎ、高品質のデイリーワインを造り続けるということ~その1~
【日本ワイン生産者の肖像9】土屋幸三さん(キザンワイナリー)|日本で約100年の歴史あるワイナリーを継ぎ、高品質のデイリーワインを造り続けるということ~その2~

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ますます注目される日本のワイン。11月の第3木曜日はボジョレー・ヌーヴォー解禁日ですが、日本のワインも新酒が登場するこの季節。ぜひ、試してみてください。

文/編集部

 

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