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取材・文/坂口鈴香

老後を自宅で過ごしたいなら|「いつでも連絡してください」というケアマネジャーを求めるのは間違い?【後編】

FineGraphicsさんによる写真ACからの写真

親の終の棲家をどう選ぶ? 認知症になった母
親の終の棲家をどう選ぶ? 東京に戻ると冷静になれる」で登場した、両親を遠距離介護する上野さんや、「親の終の棲家をどう選ぶ? 一人娘で独身。アラフィフ女性の長遠距離介護」で登場した中澤さんは、信頼できるケアマネジャーの条件として「いつでも連絡してください」「マメに連絡をくれる」ことを挙げている。

一方で、介護が必要な人の家族がケアマネジャーに「いつでも連絡が取れるようにしてほしい」と要求するのは、「ケアマネジャーの休日を奪うもの」「働き方改革に逆行するもの」ではないかという指摘がある。

「いつでも連絡が取れるようにしてほしい」という家族は“ブラック”なのだろうか。家族はケアマネジャーの働き方も考慮するべきなのか?

こうした疑問に対して、前編ではケアマネジャーの働き方に詳しい、介護サービス提供事業所の幹部に話を聞いた。

後編では、この幹部が教えてくれた「遠距離介護をする家族がケアマネジャーと上手に付き合う方法」と、実際にケアマネジャーとして働く女性の考えをご紹介したい。

前編はこちら】

■「ケアマネジャーに希望する連絡手段を伝えておこう」:介護サービス提供事業所幹部

遠距離介護をする家族におすすめしたいのは、ケアマネジャーと契約するときに「遠距離であること」と「家族がほしい情報は何なのか」、そして「その情報を伝えてもらうための連絡方法、メールや電話などの連絡先」を伝えておくことです。そして親を一番みているヘルパーや施設スタッフから親について変化があればケアマネジャーに連絡がいくので、そのときは連絡してほしいと言っておきましょう。

そして、ケアプランは必ず家族に送られてきますので、しっかり確認しておきましょう。特に確認してほしいのは、「ケアプランの目標」です。ここで重要なのは、「何に対する介護サービスなのか」、それから「親本人や家族の意見が取り入れられているか」です。

■引き出しをたくさん持っておく

家族が緊急にケアマネジャーに連絡を取りたくなるのは、急病やケガなどで親御さんを病院に連れて行かねばならないケースが考えられます。

都合がつけばもちろん家族が病院に同行することになるでしょうが、それ以外の引き出しをなるべくたくさん持っておくことをおすすめします。親の住む市町村に、通院介助をしてくれるNPOや有償ボランティアなどの組織がないか、調べてみましょう。わからなければ、地域包括支援センターに聞いてみるのもよいでしょう。

ポイントは、窓口をケアマネジャーだけに絞らないことです。ヘルパーやデイサービスなどのスタッフを把握しておき、情報が入るルートをいくつか確保しておきましょう。

■ケアマネジャーに聞く:「いつでも対応してほしいというのはわがままですか?」

私は利用者さんのところには、ご家族の都合に合わせて土日に伺うことが多いです。それは、「いい仕事をしたいから」の一言に尽きます。

介護サービスを提供する際に肝心なのは、ご家族にその気になってもらうことです。ご家族が本気になって親御さんのことを考えてくだされば、親御さんの心身の状態が好転するのも早くなります。介護にかかわっている各専門職とケアマネジャーはチームとなってケアしますが、それと同様にご家族もチームの一員なんです。ご家族が気軽に、いつでもどんなことでも私に電話してくれるようになるとしめたもの。問題解決も早いです。

そのためには、ご家族が親御さんのことを100%考えられるような環境が必要です。ご家族がお仕事をされている平日に、親御さんの話をしても本気になるのはむずかしい。だったら親御さんの顔を見ながら考えることのできる土日の方が、効率が良いんです。

土日に訪問する分、平日のどこかで休めばいいと考えています。どこかでやらなければいけない仕事なのだから、土日に仕事をしても全体の業務量は変わりません。私の雇用形態は、担当の利用者さんの人数で給与が決まる歩合制なので、こうした働き方ができるという側面はありますね。

そういう姿勢だからか、社用携帯にご家族からかかってくる電話は、事業所では私がダントツらしいです。訪問看護師からかかってくる電話もダントツ。これは自慢ですが(笑)。でもそれが誇りであり、やりがいでもあります。

だから、「休日でも対応してほしい」というのは、わがままでもブラックでもありません。人相手の仕事は働き方改革になじまないと思います。そんなことを言うのなら、究極の話、「看取り期の医師や看護師はどうなの?」と聞きたいですね。

* * *

ちなみに、ここで話を聞いたケアマネジャーは小規模な事業所に所属している。新型コロナの影響で、今はケアマネジャーが家庭を訪問することは原則として自粛しているという。

今回はケアマネジャーの働き方について、考えてみた。「老後を自宅で過ごしたいなら 『ケアマネジャー』 知っておきたい基本のき」でもケアマネジャーの業務やケアマネジャーの選び方について解説しているので、あわせてお読みいただきたい。

取材・文/坂口鈴香
終の棲家や高齢の親と家族の関係などに関する記事を中心に執筆する“終活ライター”。訪問した施設は100か所以上。20年ほど前に親を呼び寄せ、母を見送った経験から、人生の終末期や家族の思いなどについて探求している。

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