母親の再婚に反対しない理由、「兄弟を作ってくれたから」
3人目の父親ができたのは康弘さんが9歳の頃。新しいお父さんというものがどういう存在なのかを理解できた年齢、そして気難しそうな第一印象を抱いたことで、懐くという行為を演じていたと振り返ります。
「最初に会ったのは、家の近所にあるいつも家族で食事に行っていた飲食店で、何も聞かされていないまま、先に着席していた男性がいて。なんとなく『またか』と思いましたね。でも、僕よりも弟、妹が警戒心をむき出しといった状況だったので、僕が話すしかなくて。3人目は初婚でした。2人目はお互いバツ1で子どもこそいなかったけど、子どもに慣れている人だったから、余計に比較してしまって、苦手意識がありました。でも、嬉しそうにしている母親の姿を見ると、やっぱり何も言い出せませんでしたね」
過去の母親の再婚について、反対することはなかったとのこと。仲良くなれないと苦手意識さえあった義父についてはある思いもあったそう。
「母親は喜怒哀楽がわかりやすくて、ある意味喜ばそうとしたら簡単だったというか(苦笑)。再婚について嬉しそうに話す母親のことを反対なんてできませんよ。弟、妹は純粋に父親が欲しい年齢だったし。それに母親が再婚していなかったら、兄妹はできなかった。3人目の父親とは最後まで家でも気を遣うような存在だったけど、2人の間にできた弟は本当にかわいくて。僕が11歳の時だったから、弟というよりも自分の子どものような感じでかわいがっていました。
義父と母親が離婚したのは、僕が高校生のとき。2人が別れてしまうことよりも、弟の親権はどちらが持つのか、そんなことばかり気にしていました」
幸せな家族像は描けるも、永遠は誓えない。【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。