取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。
嫌いじゃないのにどこか遠慮してしまう。親に素直に頼れない
今回お話を伺った、芽依さん(仮名・32歳)は、29歳の時に職場で出会った男性と結婚、現在は1歳を迎える子どもとともに都内で暮らしています。未奈さんの旦那さまはリモートワークも選択できる中で出勤を続け、さらには義母の夫だけを心配する毎日の電話が続く日常に疲弊しているとか。
「私は夫と元同僚なので共通の知り合いがいるため、リモートワークができることを知っています。しかし、夫からは出勤するしかないと嘘をつかれている状態です。それに加えて、義母からの電話が毎日続いて……。最近のコロナ禍でただでさえ気を張っている状態なのに、心底疲れ果ててしまいました」
芽依さんは筆者の元々の知人で、今回は電話取材にてお話をお伺いしました。
芽依さんは滋賀県出身で、母親と2歳下に妹のいる4人家族。両親との関係性はどこか他人行儀、言い合いなども遠慮してしまう傾向が小さい時からあり、大きな揉め事は家族間で一度もなかったと言います。
「親から見たら私はいい子だったかもしれません。勉強しろと言われたらちゃんとしていたし、塾などの習い事も一度もサボることなく皆勤でした。さらに我が家では、小学校の時は20時以降はテレビを見ることが禁止されていたんですが、私はちゃんと親が外出していた時も守っていました。でも、それはバレた時に怒られるのが面倒くさかったから。怖いというのではなく、あの怒られる時間がしんどかっただけなんです。怒られている最中は聞いているふりをしながら、ひたすら数字を数えたり、別のことを考えたり……。苦痛すぎてちゃんと聞けなかったんですよ(苦笑)。
その一方で妹は自我が強くて、まぁよく親とぶつかっていました。親は妹に精一杯で、私に無関心だったんです。実際に年々手のかからないよう努めていましたから」
決して不仲ではなく、嫌いでもなかった関係ですが、一人暮らしを始めてからは物理的な距離もあり、帰省することを避けていたそう。
「2つ目の就職の転勤で東京に出て来たんですが、東京に来たばかりの頃は母親から定期的に連絡があったものの、私からすることはなくて、その後少しずつ減っていきました。帰省も最初の頃はゴールデンウィーク、お盆、お正月と帰っていたんですが、なんとなくもう自分の家じゃないような居心地の悪さを感じるようになってしまって。東京に来て1年に満たない時期に結婚したので、そこからはさらに距離を置くようになりました」
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