
誰にでも、運が悪いと思うことありますよね。そんな不運に上手に対処できれば、人生は楽しくなるのではないでしょうか。
どうすれば、人生の困難をうまく乗り切れるのか。その答えのひとつが「ご機嫌な脳」だというのは、脳内科医で、「脳の学校」代表でもある加藤俊徳先生。脳を120%活かすカギは上機嫌。脳のパフォーマンスは機嫌によって大きく変わるのだそうです。
加藤先生の最新著書『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』(SBクリエイティブ)には、脳を上機嫌の状態に保つためのメソッドが紹介されています。毎日をもっとご機嫌に過ごしたい、不機嫌な自分とさよならしたい、周りの不機嫌に振り回されたくない。そんな悩みの答えがここにあります。
そこで、今回は『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』から、脳の機嫌のバロメーターの作り方を紹介します。それには、脳の機嫌が悪いことを自覚することが重要。いつもと違う異変に気付ければ、脳の機嫌がわかります。
文/加藤俊徳
欠かさずできるルーティンを作ることが第一歩
私たち人間は社会的動物ですから、みな何かしらの集団に属しています。
誰もが、周りの人たちと関わらなくては生きていけない。だからこそ、自分を不機嫌にさせるさまざまな要因とも完全に無縁ではいられません。誰にでも機嫌の浮き沈みはありますが、沈んだときにうまく対処するには、まずそれを自分で自覚する必要があります。
身体に異変が生じたとき、まず自分が「おかしい」と気づけなくては検査も受けないし、治療に入ることもできませんね。
現状を「異変」と見なすには、何かしらの基準が必要です。血圧にも血糖値にも公的に定められた「標準値」があり、そこから外れた場合は、医師による生活指導や投薬治療などの対処がとられるわけです。
ところが人間の感情は目に見えず、定量的に測ることもできないので、当然ながら標準値などありません。もちろん脳画像や脳波を測ればわかりますが、自己診断法としてはまったく現実的ではありません。
つまり、自分なりに「機嫌の正常値」を設けなくては、おかしいときに「おかしい」と気づくことができない。
そこでおすすめしたいのが、ルーティンを持つことです。
ルーティンとは、毎日、欠かさず行うこと。その効能は2段階に分かれています。
まず1段階目の効能は、毎日、欠かさず行うことで脳の覚醒度が上がることです。
たとえば私は、中学3年生のころに急に「お経を読みたい」と思い立ち、祖母と縁のあった修行者の元に通って般若心経を学びました。それ以来、般若心経を写経することが私の日課になりました。

不思議なもので、人は写経や読経をしながら怒ったり悲しんだりできません。これらには高い瞑想効果があるため、自然と心が鎮まり、感情はポジティブでもなくネガティブでもない、平穏なニュートラル状態に整えられるのです。
今思うと、10代半ばにして、私は図らずも最強の機嫌の強化法を身につけたのかもしれません。
それでも、ときには写経に集中できない日もありました。
毎日、集中してできることが、今日はできない。身体が重い。声が出にくい。これは偶然ではなく、必ず理由があります。睡眠が足りない、体調がよくない、心配事があるなど、何かしらの要因によって脳の覚醒度が落ちている。
いつもよりも「日常の機嫌値」が下がっているのです。
つまり、毎日、欠かさず行うことで「今日の脳の覚醒度、日常の機嫌値のライン」がわかる。これがまさにルーティンの2段階目の効果効能です。
「昨日はすんなりできたが、今日はできなかった」としたら、今日の日常の機嫌値が昨日よりもダウンしているサインです。毎日のルーティンは、言わば「ご機嫌メーター」です。ルーティンを持つことで、「日常の機嫌値の定点観測」ができるのです。
「毎日、欠かさず」という点が守られていれば、ルーティンは何でもかまいません。
それ以外にルールを設けるとしたら、ルーティンは第一には「今日の機嫌を整える」ため、第二には「今日の機嫌を測る」ための習慣ですから、「朝、起きてすぐに行えるもの」であること。また、「自分にとって負荷が重すぎず、かといって軽すぎもせず、集中できるもの」がいいでしょう。
たとえば、
1)朝、10分だけジョギングする(ウォーキングでもいいでしょう)
2)3種類ほどのかんたんなストレッチをする
3)楽器やスポーツの基礎練習をする
――などです。
もちろん中学3年生当時の私のように、「般若心経を写経する」のもおすすめです。
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『1万人の脳を見た名医がつきとめた 機嫌の強化書』
著者/加藤俊徳
SBクリエイティブ 1760円(税込)
加藤俊徳(かとう・としのり)
脳内科医、医学博士。加藤プラチナクリニック院長。株式会社脳の学校代表。昭和医科大学客員教授。脳科学・MRI 脳画像診断の専門家。脳番地トレーニング、助詞強調おんどく法の提唱者。小児から超高齢者まで1万人以上を診断・治療。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意。1991年に、現在、世界700カ所以上の施設で使われる脳活動計測「fNIRS(エフニルス)法」を発見。1995年から2001年まで米ミネソタ大学放射線科でアルツハイマー病やMRI 脳画像の研究に従事。ADHD、コミュニケーション障害など発達障害と関係する「海馬回旋遅滞症」を発見。現在、「加藤プラチナクリニック」では、子どもでも大人でも脳が一生成長することを診療目的として、独自開発した加藤式脳画像診断法を用いて、脳の使い方の指導、学習・進学や適職の相談などを行っている。
著書には、『アタマがみるみるシャープになる!! 脳の強化書』(あさ出版)、『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』(サンマーク出版)、『1万人の脳を見た名医が教えるすごい左利き』(ダイヤモンド社)、『子どもの脳は8タイプ』(SB新書)などがある。











