取材・文/ふじのあやこ

家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、その時に感じた率直な思いを語ってもらう。

田舎で一生過ごしたくない。親の反対を押し切って20歳で上京

今回お話を伺った、由紀子さん(仮名・37歳)は、36歳の時に以前勤めていた会社で知り合った男性と10年の交際の中で8年の同棲を経て結婚、現在は同棲していた時と同じ都内にあるマンションで2人暮らしをしています。結婚生活はあと2か月で1年を迎えるそうですが、このコロナ禍で2人の関係は大きく変化していっていると言います。

「結婚したきっかけはお互いの両親に結婚しろと外堀を埋められたから。元々お互い結婚願望はなかったんですが、8年も同棲できるくらい一緒にいて居心地が良く過ごせたから結婚を決めたんです。でも、今はまったく夫の良かったところが見えなくなってしまいました」

由紀子さんは富山県出身で、母親と8歳下に弟のいる4人家族。家の近くには父方の祖父母が住んでいて、父親は祖父と同じ建築系の家業を就いでいたそう。寡黙な父親と元気な母親というバラバラな性格を持つ両親だったものの、家族仲は良かったと言います。

「父親は昔気質な人で、父親が仕事から帰ってきて、食事を始めるまで子どもは待たないといけなくて。最初に口をつけたらいけなかったんです。父親は家では晩御飯はお酒を飲みながら食べるので、食事のスピードが遅くて、それを待つのがすごく苦痛でしたね。

一方の母親は専業主婦で肝っ玉母さんみたいな感じで、母親のおかげでこんなピリピリした父親が中和されるというか。何でも笑顔で乗り切るような人で、父親も母親には頭が上がらないところがあったので、それで家族のバランスが取れていたような感じでしたね」

由紀子さんが上京したのは20歳のとき。地元の専門学校を経て、就職で東京を選んだとのこと。専門学校進学の時に反対された上京を敢行します。

「私が育ったところは田舎だったので、やっぱり東京への憧れがすごくあって。テレビで人気商品が映っていたとしても買えるのはほとんど東京ばかり。今のようなネットショッピングもそこまで普及していなかったですし。

一度高校を出て東京の専門学校に行きたいと両親に伝えたら、大反対で。お金を1円も出さないと言われました。本当はデザイン系の専門学校に進学したかったんですけど、2年後の上京をかなえるために資格を取れる専門学校に進んだんです。そして、無事東京で就職を決めて、上京をかなえました。ここまで意思が固かったら母親は笑顔で送り出してくれたけど、父親は私には直接言わないものの、親族との飲み会で散々愚痴っていたみたいですね(苦笑)」

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