離婚で切れてしまうと思った絆を必死でつないでくれたのも義母だった
佳代さんは程なくして無事出産。その後の結婚生活も順調に進んでいくと思っていた矢先、夫の不倫が発覚します。その相手は元交際相手。さらに嘘まで発覚したことで佳代さんは離婚を選択します。
「夫は再会して、一度そういう関係になっただけと言っていたのに、その女性を呼び出して3人での話し合いの場では、ずっと前からだと白状しました。私と付き合っている間もたまにあっては体の関係を持つ間柄だったと。私はこの話を聞いて、離婚の一択しか思い浮かびませんでした。よく子どものために離婚しないという話を聞きますが、家の中で不仲を見せられ続けた子どもがどうなるのか、私が一番知っていますから。私ひとりでもしっかりと愛情を注げばいいと、ひとりで頑張るつもりでいました」
しかし、離婚後に思い知らされたのはワンオペ育児の限界。そんな時に助けてくれたのは、別れて家族ではなくなってしまった夫の母親でした。
「離婚することが決まった時、義両親は私に会いに来て、頭を下げてくれました。でもその時は何も言葉をかけることがでせずに、追い返してしまって。これで縁が完全に切れたと思っていました。
でも、そこから何度も私のことを気遣うメールを義母はくれていました。そのメールには夫の浮気の謝罪する内容がいつも入っていて……。そんな義母の気遣いを鵜呑みにして、一度子どもが熱を出した時に迎えを頼んだことがあったんです。とても快く受けてくださって、『頼ってくれてありがとう』とお礼まで言ってくれました」
そこから徐々に甘えてしまう機会が増えて、今は元夫を含めて良好な関係を築けていると言います。
「この前は元夫の運転付きで、義両親と子どもとの4人で大型の商業施設へ行ってきました。別れてからもこんなに良好な関係を築けるなんて思ってもみませんでした。夫は人当たりが良すぎての浮気かもしれないけど(苦笑)。孫だけでなく、私も今までできなかった親へ甘えるということを少しずつさせてもらっています。少し複雑な意味も含めてですけど、元夫と出会えたことには感謝しかありませんね」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。