取材・文/ふじのあやこ

離婚、再婚などで複雑化する家族関係。血縁のない家族(義家族)との関係で生じる問題、そして新たに生まれたものを、当人にインタビューして、当時感じた素直な気持ちを掘り下げます。(~その1~はコチラ

今回お話を伺った夏子さん(仮名・39歳)は、28歳の時に友人の紹介で知り合った男性と結婚。現在は都内で小学生のお子さんとの3人暮らしをしています。結婚のきっかけとなった妊娠、そして出産の前後で芽生えた旦那さまへの不信感を今でも覚えていると言います。

「妊娠がわかった時に夫は喜んではくれず、一時は子どもを諦めるという方向に話が進みました。それを私が情に訴えるかたちで捻じ曲げたというか……。ただ子どもを産みたくて、夫と家族になりたかった一心でした。でも、夫からしたら責任をとっただけ。私が出産前後でしんどい時も側で支えてくれることはなかった。それが小さなしこりのように今も残っているんです」

夫には何も期待しない。子どもを育てる同居人と思うように

子育て中のしんどさを吐き出すのはいつも母親か妹。いつしか夫に期待することを諦めたと当時を振り返ります。

「夫は休みの日こそ育児をしてくれたりしたんですが、平日は何も……。夫は育児中いくら部屋が汚くなっていても文句を言うことはなかったし、怒られたこともありません。揉めることを避けるようなタイプなので、私が何かを強く言った後はそのこと自体を避けるんです。一度、休みの日の食事について『待たないで』と言ったらそこから休みの日の食事は自分で作るようになりました。でも、自分の分だけ。私のためにしてあげようという気持ちがないんですよ。そんなことが積み重なって、夫にはもう何も期待しなくなりました。期待しないと、もういない人のよう。夫婦生活は淡々と決められたタスクのように淡々とこなすだけでした」

子どもが小学生に上がると夏子さんはパート勤務を開始させます。仕事を始めなければ離婚も満足にできないという現状を変えたい一心だったとか。

「友人の中にも離婚したいのにお金を理由に家庭内別居をしている子や、離婚した後に実家に頼るしかなくなってしまった子を見ていたので、まずはお金を貯めなければと、近所で事務の仕事を始めました。

その頃には夫は毎日遅くに帰ってきて、土日も仕事を理由に出かけることが増えていて、晩ご飯も一緒に食べることはなくなっていました。なんとなく仕事じゃないニオイがする時もあったんですが、関心がなかったので。もし夫に別の女性ができて離婚してほしいと言われたら受け入れるつもりでした。夫に新たな相手がいれば慰謝料をもらえることになるから、私がただ離婚したいというよりも好条件で別れられることになりますから。そんなことばかりを考えていましたね」

【次ページに続きます】

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