兄夫婦の離婚がひとつの分岐点。その時、今は離婚しないと決めた
典子さんの中で夫への不信感が募っていたものの、表面上の夫婦関係は良好。2年後には第2子となる弟が生まれたこともあり、母親から夫への信頼も増していきます。しかし、そんな中、兄夫婦が離婚することになったそう。
「義姉には、私たち夫婦の仲が微妙なことは相談にのってもらっていましたし、兄夫婦が微妙なのも知っていました。義姉にもその時には3歳になる子供がいたんですが、兄も家庭を顧みないタイプで、そのことをよく愚痴っていました。夫婦仲が悪いことについて笑いを含めて言ってくるような感じだったので、2人の仲がそこまで深刻だなんて気づいていなくて。別れたいと言った義姉に対して兄は激怒したようで、彼女が実家に来ることは二度となくなりました。それに対して母親はすごく寂しそうで、夫のような行動をずっととり続けた兄に対しては不信感が残りました」
兄夫婦が離婚してからも、兄に内緒で元義姉と会う関係を続けたと言います。そこに母親を連れていったこともあるとか。
「すっかり家族のような友人関係になっていたので、私たちの関係は離婚したからって変わりませんでした。どちらかというと、離婚をきっかけに距離ができたのは私と兄のほう。兄は離婚後一度も子供に会いに行った様子もなかったし。子供を持つようになって、子供という存在がどれほど大事なものなのか知っている今、兄の態度は到底受け入れられるものではなかった。兄に内緒で、義姉とのお茶会に母親を連れて行ったこともあります。母は嬉しそうに久しぶりに会う孫と遊んでいました」
典子さんは義姉と同じ思いを抱いているのにも関わらず離婚は選択していません。その理由を聞くと、「今はまだできません。子供がひとり立ちするまでだと思っています。離婚後は絶対に子供の親権は取れると思いますが、兄のこともあって、今まで一度も私の家庭のことを母に相談したことがないんです。うまくいっていると、その嘘は子供がひとり立ちするまで貫き続けます」と決意の見える強い口調で語ります。
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。