いつでもどこでも妹とセット。いつしかコンプレックスばかり目につくようになった
両親の性格の違いは双子の性格にも影響していたそう。双子ながら2人はまったく性格が違ったと言います。
「妹はどちらかというとおおらかで、私は細かいタイプ寄りな性格。よく双子って色違いのおもちゃを取り合うようなイメージがないですか?でも、私たちにはまったくそれがなかったんです。その理由は、妹がどっちでもいいと、先に選ばせてくれたから。それに小さい頃は同じ服が2着ある時でも、私は洗濯表示のタグなどに油性ペンで名前を書いていましたが、妹はお構いなし。タンスを開けて手前にあったものを着ていて、よくケンカになっていました。おもちゃを譲ってもらっていることを棚に上げて、勝手に服を着られた際はいつも殴り合いのケンカに発展していましたね(苦笑)」
中学生になり、周りからあることを言われるようになったことで妹と一緒にいることが徐々にしんどくなっていったそう。
「中学になると、異性を意識したりするようになりますよね。私たちは一卵性双生児だから顔がそっくりで、体格などもほぼ一緒。それなのに私は、男子から『双子のかわいくないほう』と影呼びされるようになったんです。なんなら私のほうが少し細くて、髪も長くて女の子っぽかったのに。どこからその話が聞こえてきたかは覚えていないんですが、ショックだったのか忘れられなくて。妹とこれ以上比べられたくないという思いから、私は他の友達と遊ぶようになりました」
高校は別々のところに進学。距離を置きたい真美さんと違い、妹、さらには両親もセットでの行動を強いるようになっていったと語ります。
「高校進学前の塾も一緒。個人塾だったから生徒もそんなにいないし、妹は常に隣に座ってきて。私は周りが双子だと気づかないところへ行きたかったんです。高校受験では必死に頑張って妹よりもレベルの高い高校に進学しました。やっと勝てたと思ったのに、妹が私の受験合格を純粋に喜んでくれるところに自己嫌悪に陥ったり……。私は中学終わりぐらいから反抗期に入ったので、家族とリビングで過ごすことを避けていました。でも、妹は反抗期自体がないのか楽しそうな声が聞こえてきて。色んなことにイライラしていましたね」
双子の片割れと言われないところへ行きたい。あることがきっかけで疎遠になった2人を結びつけたのは母親の病気でした。
【~その2~に続きます。】
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。