他人事ではなくなる相続税

相続で財産を引き継ぐと、必ず相続税を支払わなければならないわけではありません。遺産から差し引ける基礎控除の額が大きいので、財産が一定額までは、相続税が発生しないしくみになっているのです。

相続税を支払わなければならないかどうかは、下図に示したような手順でチェックできます。

知っておきたい相続の基礎知識(C)2018 NPO法人 日本FP協会

まず、亡くなった人の財産をすべて洗い出し、一定のルールに従って財産をすべて評価します。これに、保険金や死亡退職金などがあれば足し、住宅ローンの残債など借入金があれば引きます。なお、お葬式にかかった費用も差し引いてよいことになっています。最後に、基礎控除額を差し引き、これがプラスなら、所定の税率を乗じて算出される相続税を支払うことになります。

ところで、相続税の基礎控除の額が2015年1月1日から、大幅に引き下げられました。これによって、以前より多くの人にとって、相続税が身近な問題になったのです。

たとえば、母親が亡くなって子ども2人が相続する場合の基礎控除額は、5000万円+1000万円x法定相続人数(この場合は2人)で7000万円でしたが、引き下げ後は3000万円+600万円×法定相続人数の4200万円となっています。基礎控除が少なくなると、相続税の支払いが発生する可能性が増えるわけです。

相続税はかかる?簡単チェック

下の計算式を使って、自分のケースを大まかにチェックしてみましよう。

知っておきたい相続の基礎知識(C)2018 NPO法人 日本FP協会

本来、相続税を計算するには、すべての財産を洗い出し、相続のための評価をしなければなりませんが、ここでは相続税がかかる可能性があるかどうかの概算と考えてください。

財産の評価方法は、財産の種類によって、細かい決まりがあります。なかでも、土地や建物などの不動産は、特に複雑なので注意が必要です。

土地に関しては、路線価が目安になります。路線価は、国税庁ホームページの財産評価基準書で調べられます。相続後に家族が住み続ける場合、一定の広さまでは、路線価で求めた金額の20%の評価になります。

建物に関しては、固定資産税評価額が目安です。固定資産税評価額は、毎年送られてくる納税通知書で確認できます。

なお、人に貸している土地や建物の場合は、先述の評価額から、それぞれ一定割合で評価が引き下げられます。

株式や投資信託、ゴルフの会員権など、ほかの財産についても、表の中に、財産ごとの計算の目安があるので、参考にしてください。

財産を評価するのは少々面倒ですが、相続税がかかりそうかどうかを知っておくのは、大切なことです。また、財産の全容を把握できると、遺言を書く際にもスムーズなので、この機会に書き出してみることをおすすめします。

知っておきたい相続の基礎知識(C)2018 NPO法人 日本FP協会

※本記事はNPO法人 日本FP協会発行のハンドブック「自分らしく暮らすために 60代から始めるマネー&ライフプラン」から転載したものです。

協力:NPO法人 日本FP協会 https://www.jafp.or.jp/

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