皆さんは投資信託を購入する時に、それがどの資産運用会社の商品か意識していますか? そもそも資産運用会社とは何か、資産運用会社の役割や特色について学んだ上で、投資を始めましょう。日本人の新しい働き方、新しい生き方をサポートしている、株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com/)のファイナンシャルプランナー・藤原未来が解説します。

目次
資産運用会社とは
資産運用会社と証券会社との違い
まとめ

資産運用会社とは

資産運用会社とは、その名の通り「資産を運用する」会社のことをいいますが、一般的には「投資信託」商品を開発し、運用をしている会社のことを言います。そこで、「投資信託運用会社」とか、単に「運用会社」とも呼ばれ、具体的には、「~アセット・マネジメント」とか「~投信」という社名が多く見られます。投資信託協会のホームページ(https://www.toushin.or.jp/link/index.html)には現在107社の投資信託運用会社が「協会正会員」として記載されています。

資産運用会社の業務の中心となっている「投資信託」という運用商品は、私達一般の消費者も含め多くの投資家からお金を集め、その集めたお金で株式や債券などに投資します。資産運用会社はそれぞれの「投資信託」の運用方針に従って、「何に、いくら」投資をするかを検討して決めるのです。

「何に、いくら」投資するかを判断する為には、その時々の経済情勢や市場動向を分析(マクロ分析)する一方で、個別企業の業績や今後の成長可能性などについて、決算書の内容を読み解いたり経営者にインタビューしたりして分析します(個別銘柄分析)。そのような調査分析を担当する専門家のことを「ファンドマネージャー」と呼びます。投資信託のパフォーマンス(運用成果)は、その商品の運用を担当している「ファンドマネージャー」の腕によって左右されるのです。

また、ファンドマネージャーなどに対する人件費や調査するための物件費などの運営コストがかかるので、投資信託を保有している期間中には「信託報酬」と呼ばれる管理手数料が引かれます。「信託報酬」はファンドによってその料率(パーセンテージ)が変わりますが、0.1%程度~3%を超えるものもあり、かなり幅があるので商品を選ぶ際にはしっかりとチェックしましょう。

資産運用会社と証券会社との違い

資産運用会社はあくまでも投資信託の開発や運用を業務としているのに対し、証券会社は投資信託の販売が目的。製造業に例えると、製品を作るのが資産運用会社であり、その製品を販売するのが証券会社にあたります。<図表>の「ファンド」の上の「運用会社」が資産運用会社であり、左の「販売会社」が証券会社に該当します。「販売会社」には、証券会社以外にも銀行や信託銀行などの金融機関も含まれます。銀行の窓口で投資信託の案内をしているのを、目にしたことがある方は多いのではないでしょうか。

<図表>投資信託の仕組み

(出典:投資信託協会ホームページ「投資信託の仕組み」(https://www.toushin.or.jp/investmenttrust/about/scheme/index.html)より)

資産運用会社の特徴

投資信託協会の正会員として登録されている107社の資産運用会社(投資信託運用会社)は、大きく次の二つに分類できます。

1. 金融グループ系と独立系

金融グループ系とは、その投資信託運用会社がいわゆるメガバンクや大手証券会社などの企業グループの中の一員という位置づけで、営業している会社を言います。例えば、三井住友銀行系の三井住友DSアセットマネジメントや、三菱UFJ銀行系の三菱UFJ国際投信、みずほ銀行系のアセットマネジメントOne、野村証券系の野村アセットマネジメント、大和証券系の大和アセットマネジメントなどが代表的です。

独立系とは、どの金融グループにも属さない資産運用会社です。それぞれ独自の経営方針を掲げ、持ち味を生かした運用をする投資信託を運営しています。金融グループ系の資産運用会社よりも、資金的には小規模になる傾向にあるため、投資信託の運用対象も国内株式に絞るなど独自性の強い商品となっています。代表的なものとして、レオス・キャピタルワークス(ひふみ投信)やコモンズ投信、さわかみ投信、セゾン投信、鎌倉投信などが挙げられるでしょう。

2. 日系と外資系

日系は、国内資本により経営されている資産運用会社であり、上で紹介した金融グループ系や独立系の例として挙げた会社はすべて日系になります。

それに対し外資系は、もともとは欧米を中心とした外国法人の資産運用会社が母体であり、代表的なものとしては、フィデリティ投信、バンガード・インベストメンツ、ピクテ投信、ブラックロック・ジャパン、ドイチェ・アセット・マネジメントなどが挙げられます。世界的な規模から小規模なものまで多種多様な会社があり、得意分野が違うなど、それぞれ特色を持って運営しています。

以上のように分類することができますが、資産運用会社を選ぶ上では、どのグループが良いとか悪いとかで判断するのではなく、それぞれが運用する個別の投資信託自体の内容や成績を見ながら判断すべきです。

例えば、日経平均株価などの指数に連動させる「インデックスファンド」を選ぶ場合には、同じ指標に連動させるファンドを並べて「信託報酬」のなるべく安いものを選ぶことになります。また、「アクティブファンド」を選ぶ場合には、運用方針の確認とその運用成果が継続的に目標とする指数(インデックス)よりも、良い状況になっているかどうかを基準にして選びます。

証券会社の特徴

投資信託の「販売会社」である証券会社は、野村證券や大和証券、SMBC日興証券などの大手の証券会社が代表的です。これらの大手証券会社は、規模も大きく歴史もあり経験もあるので安心感はありますが、一方で商品の品揃えは自己の企業グループ系列の資産運用会社を中心としたラインナップとなっているので、投資信託の取扱本数は多くても500~1000本程度で選択肢がせまくなる傾向にあります。

また、投資信託を購入する時には、購入時手数料がかかりますが、大手証券会社の場合は比較的手数料が高めの商品が多いので、商品を勧められた時には必ず購入時手数料の確認をしましょう。

これに対して最近はインターネット証券会社、いわゆる「ネット証券」が存在感を強めています。代表的なものは、SBI証券や楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券などが挙げられます。中でもSBI証券と楽天証券は投資信託の取扱本数が2600本以上と圧倒的に多く、豊富な選択肢の中から自分に合ったファンドを選ぶことができます。また、ネット証券の多くは投資信託の購入時手数料を無料にしているので非常に効率的です。

その代わり、大手証券会社のように窓口でのサービスや担当者によるサポートなどがなく、口座の開設から投資信託の購入まですべて自分でパソコンを操作しながら対応しなければならないのはデメリットともいえます。

まとめ

資産運用会社の役割や証券会社との違いをしっかりと理解した上で、自分に合った投資信託を選択するためには、まずは将来のライフプランをもとに投資の目的を明確にする必要があります。誤った判断をしないためにも、専門家であるファイナンシャルプランナーに相談しながら進めると良いでしょう。商品販売をしない中立的なファイナンシャルプランナーは相談者の立場に立って最適な資産運用を考えてくれます。

●構成・編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB:https://www.facebook.com/kyotomedialine/

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

 

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