文/堀けいこ
世界中から熱い視線を浴びる美貌の歌手、コスタ=ジャクソンが歌うカルメンに期待が高まる。
時代を超えて愛される名作。そんな言葉に惹かれて出かけた展覧会や音楽会を楽しんだ帰り道は、満ち足りた気分になるもの。オペラにもそんな名作が数多くあるが、中でも筆頭に挙げられるのが『カルメン』。今シーズンの新国立劇場で間もなく上演される『カルメン』も、観劇後の満足度が高いこと間違いなしだ。
印象的なフレーズが耳に残る前奏曲に始まり、「ハバネラ」「闘牛士の歌」など数々の名曲にのせて、魔性の女カルメンと一途な男ドン・ホセとの愛と死のドラマが繰り広げられるオペラ『カルメン』。その初演は1875年3月3日のパリ オペラ コミック座。若くしてこの世を去ったビゼーの代表作で、フランス・オペラの中で最も有名な作品でもあることは疑いの余地がない。
『カルメン』は、新国立劇場で上演される幅広い演目の中でもとくに人気の高い作品。日本を代表する鵜山仁による演出は、カルメンのもつ激烈なエネルギーを描き出し、これまでも客席を埋め尽くす人々の感動を呼んだ。今回も大迫力の合唱や、エキゾチックなダンスの見せ場など、オペラの醍醐味を存分に味わうことができるだろう。
加えて、今回は、“新世代のカルメン歌い”と言われるジンジャー・コスタ=ジャクソンの主演という、とびきりの話題がある。メトロポリタン歌劇場やパリ・オペラ座で活躍する卓越した歌唱力をもつメゾソプラノ。情熱的な美貌の持ち主で、カルメンを当たり役とする、今もっとも注目されるオペラ歌手のひとり。自由に恋し、熱く生きるカルメンを歌う彼女の新国立デビューに期待が高まる。
ドン・ホセには、ロシアの名門ボリショイ劇場のスター、オレグ・ドルゴフ。ミカエラは、透明感のある歌声が心を惹きつける日本を代表するプリマドンナ、砂川涼子が演じる。
誰もが知っているフレーズが次々と聴こえてくる『カルメン』は、オペラが初めての人でも、何度も観てきた人でも楽しむことができる。全3幕の決して短くはない上演時間だが、最初から最後まで舞台に目が釘づけで、時間の長さを感じることがない。
秋も深まるこの時期にこそ楽しみたい、心を熱くしてくれるオペラだ。
新国立劇場 2018/2019シーズン
オペラ『カルメン』
作曲・ジョルジュ・ビゼー[全3幕/フランス語上演 日本語字幕付]
公演日 2018年11月23日(金・祝)〜12月4日(火)
会場 新国立劇場 オペラパレス/東京都渋谷区本町1-1-1
■新国立劇場オペラサイト
http://www.nntt.jac.go.jp/opera/
https://www.facebook.com/nnttopera/
■問い合わせ 電話:03・5352・9999(ボックスオフィス)
文/堀けいこ