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文/堀けいこ

秋晴、秋涼、紅葉、といった季語をつかう10月も、すぐ目の前。10月1日には国内外のオペラ・ファン、クラシック・ファンが待ちに待った新国立劇場オペラ2019/2020シーズンの幕開きとなる。日本屈指の指揮者である大野和士氏が同劇場のオペラ芸術監督となっての2年目がスタート。世界中から注目が集まる新シーズンの公演ラインアップとともに、その舞台に立つ、魅力あふれる歌手を紹介する。

就任2年目を迎え、さらに意欲的な大野和士オペラ芸術監督が掲げる2019/2020シーズンのラインナップの柱となるのは、「ロシア・オペラ」、「ベルカント」、そして「バロック・オペラ」の3つ。実はこれ、世界のオペラハウスの最新流行を反映したもので、それぞれのカテゴリーにおける新制作の3作品が今年の年明けに発表され、その瞬間から高い期待が寄せられてきた。加えて、オペラ初心者もふくむ幅広い層に受け入れられるレパートリー公演もさらに充実している。

来年6月公演までの全10作品のラインアップ。その中にはきっと、贔屓にしたくなる歌手との出会いがあるにちがいない。

新しいシーズンの3つの柱となる、新制作3作品

2019/2020シーズンの開幕を飾るのは、ひとつめの柱である「ロシア・オペラ」の代表作、チャイコフスキー作曲の「エウゲニ・オネーギン」(2019年10月1日からの公演)。演出は、モスクワはヘリコン・オペラの創設者で芸術監督でもあるドミトリー・ベルトマンが担う。

1990年に誕生したヘリコン・オペラは、現在ロシア・オペラ界で最も刺激的な活動を展開するオペラ劇場。それだけに、ベルトマンが作り出す新国立劇場での新プロダクションは、いったいどんなものになるのか、大いに期待されている。
「エウゲ二・オネーギン」はシンプルなストーリーで、チャイコフスキーらしい美しくロマンティックなメロディーがふんだんに盛り込まれていることから人気の高い作品。可憐なヒロイン、タチヤーナを演じる名花エフゲニア・ムラーヴェワをはじめ、歌手にはロシア・オペラのスペシャリストたちがそろう。

エフゲニア・ムラーヴェア

エフゲニア・ムラーヴェワ

 

『オネーギン』舞台セットプラン

『エウゲニ・オネーギン』舞台セットプラン

2本目の柱となる「ベルカント」の新制作は、19世紀前半のイタリア・オペラを代表する作曲家のひとりドニゼッティの『ドン・パスクワーレ』。これまで新国立劇場でドニゼッティのオペラとえいえば、『ルチア』と『愛の妙薬』の2作品が上演されてきたが、この『ドン・パスクワーレ』(2019年11月9日からの公演)は初めての登場。ドニゼッティの極上のコメディである本作品の上演を待ち望んでいたという声も多い。

物語は、若い恋人たちが機転のきく医師と手を組んで、大金持ちの老人ドン・パスクワーレをやりこめるという抱腹絶倒の展開。注目したいのは、ドン・パスクワーレをやりこめる甥のエルネストを演じるマキシム・ミロノフ。ベルカントの貴公子といわれ、今まさに、絶好調のテノール歌手なのだ。

マキシム・ミロノフ

マキシム・ミロノフ

 

『Don Pasquale』トリエステ歌劇場公演より

『ドン・パスクワーレ』トリエステ歌劇場公演より  Photo:Fabio Parenzan

そして、3つめの柱となるのが、これから1シーズンおきに上演することになった「バロック・オペラ」。その第1作目として、ヘンデルの最高傑作のひとつ『ジュリオ・チェーザレ』(2020年4月7日からの公演)がついに登場する。

英雄ジュリアス・シーザーとクレオパトラを題材にしたオペラで、ヘンデルの壮大な音楽とともに、歌手の技巧を存分に堪能できる作品。クレオパトラを歌うのは世界的なソプラノ、ミア・パーション。カウンターテナーとして活躍が目ざましい日本が生んだスター、藤木大地の登場を大いに楽しみにしたい。

ミア・パーション

ミア・パーション

 

藤木大地

藤木大地

名曲、名場面ぞろいの名作オペラの上演が楽しみ

もうひとつの新制作として、すでに話題になっているのが「オペラ夏の祭典夏2019-2020」。今年7月の『トゥーランドット』に続き、今シーズンは、ワーグナーの祝祭的な歌劇『ニュルンベルクのマイスタージンガー』が上演される。手がけるのは、現代オペラ界の注目を集めるドイツの演出家イェンス=ダニエル・ヘルツォーク。キャストには、国際的な顔ぶれとともに、実力派の日本人歌手たちの名前が挙がっている。そして、大野和士芸術監督が自らタクトをとる。

2017『椿姫』2017年公演より 撮影:寺司正彦

2017『椿姫』2017年公演より 撮影:寺司正彦

レパートリー公演には、『椿姫』『ラ・ボエーム』『セビリアの理髪師』『サロメ』など、不動の人気を誇るが作品がラインアップされている。その中には、美声と美貌で世界的に活躍するニーノ・マチャイゼ(2020年1月24日から上演の『ラ・ボエーム』のミミ役)、昨シーズンの新国立劇場初登場が話題となったイタリアを拠点に活躍する日本人歌手、脇園彩(2020年2月6日から上演の『セビリアの理髪師』のロジーナ役)など、見逃せない、聴き逃せないキャストも続々と登場。

心に響く歌手との出会いがあったなら、オペラがもっと好きになるにちがいない。

ニーノ・マチャイゼ

ニーノ・マチャイゼ

脇園彩

脇園彩

【新国立劇場2019/2020シーズン 公演ラインアップ】

2019/10/1(火)~
チャイコフスキー:エウゲニ・オネーギン[新制作]

2019/11/9(土)~
ドニゼッティ:ドン・パスクワーレ[新制作]

2019/11/28(木)~
ヴェルディ:椿姫

2020/1/24(金)~
プッチーニ:ラ・ボエーム

2020/2/6(木)~
ロッシーニ:セビリアの理髪師

2020/3/18(水)~
モーツァルト:コジ・ファン・トゥッテ

2020/4/7(火)~
ヘンデル:ジュリオ・チェーザレ[新制作]

2020/4/19(日)~
ジャック・オッフェンバック:ホフマン物語

2020/5/17(日)~
リヒャルト・シュトラウス:サロメ

2020/6/21(日)~
リヒャルト・ワーグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガー[新制作]

■新国立劇場オペラサイトhttps://www.nntt.jac.go.jp/opera/
■問い合わせ 電話:03・5352・9999(ボックスオフィス)

文/堀けいこ

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