新着記事

甘えん坊の猫さんに試してみてくださいね 猫の運動不足&ストレス解消には「キャットアジリティー」が効果的【にゃんこサライ特別編】 造園家・小杉左岐さん(72歳)の朝めし自慢「60代に入ってから塩分と油分を控えた献立です」 倭ism 鹿革のカジュアルシューズ|日本の伝統皮革・鹿革製のスニーカー Culture NIPPON シンポジウム2018 文化庁主催「Culture NIPPON シンポジウム2018」東京大会が行なわれました 角野栄子さん 角野栄子さん講演会「現在進行形で生きる」のお知らせ[PR] 親の終の棲家をどう選ぶ?| 有料老人ホーム、倒産したのに前払い金が戻らない⁉ 親の終の棲家をどう選ぶ?| 有料老人ホーム、倒産したのに前払い金が戻らない⁉ 腰丸めストレッチ 1日10回で反り腰を改善!イスに座ってできる簡単腰丸めストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第12回】 アウディ/A7 スポーツバック アウディ A7 スポーツバック|色気を纏った車体に革新技術を詰め込んだ最先端の個性派クーペ【石川真禧照の名車を利く】 鯖江のバングルウォッチ|眼鏡職人と漆器職人が作った驚きの時計 松茸(てんぷら みかわ 山本益博|「秋のてん種」【食いしん坊の作法 第19回】

サライ本誌最新号

ピックアップ記事

  1. 角野栄子さん
  2. 松本零士 不滅のアレグレット〈完全版〉

>>過去の記事へ

サライの通販

>>過去の記事へ

趣味・教養

岡本かの子が自らの美貌を愛でていたロケット【文士の逸品No.13】

◎No.13:岡本かの子のロケット

岡本かの子のロケット(撮影/高橋昌嗣)

文/矢島裕紀彦

天真爛漫のナルシスト。自分の美貌を確信し、こんな台詞を吐く。パリにいたころ、フランス人は私を牡丹と呼びましたのよ--。それが岡本かの子だった。

だが、この自己陶酔あったればこそ、夫・一平の放蕩三昧や、夫公認の若い恋人・堀切重雄と夫との同居生活という、奇妙な魔窟のような時間をくぐり抜け得た。さらには、『母子叙情』『老妓抄』『家霊』といった豊満で妖しい唯美的作品の誕生にも、このナルシシズムは一役買っただろう。

東京・目黒区の日本近代文学館に残るかの子遺愛の品物の中に、直径2センチほどの小さなロケットがあった。金の縁取りの中央部、ガラスの向こうに収められているのは自らの肖像写真。かの子は何度となく、このロケットの中の自分に、いとおしむような言葉を投げかけたに違いない。

死に至る病の床についてのち、かの子は一度も鏡を見ることがなかった。自らが確信的に愛した「美貌」の中に、多少ともやつれや醜さを見いだすのを拒否して、かの子は完全なるナルシストを貫いたのである。

文/矢島裕紀彦
1957年東京生まれ。ノンフィクション作家。文学、スポーツなど様々のジャンルで人間の足跡を追う。『サライ.jp』で「日めくり漱石」「漱石と明治人のことば」を連載した。

写真/高橋昌嗣
1967年桑沢デザイン研究所 グラフィックデザイン科卒業後、フリーカメラマンとなる。雑誌のグラビア、書籍の表紙などエディトリアルを中心に従事する。

※この記事は、雑誌『文藝春秋』の1997年7月号から2001年9月号に連載され、2001年9月に単行本化された『文士の逸品』を基に、出版元の文藝春秋の了解・協力を得て再掲載したものです。

この記事が気に入ったら
いいね ! しよう

Twitter で

関連記事

  1. 森茉莉が可愛がっていた犬のぬいぐるみ【文士の逸品No.39】
  2. 中勘助が幼少期に使っていた銀の匙【文士の逸品No.38】
  3. 林芙美子が出版記念品として配った灰皿【文士の逸品No.37】
  4. 音楽好きの宮澤賢治が奏でたチェロ【文士の逸品No.36】
  5. 文士・尾崎士郎が履いていた奇妙な下駄【文士の逸品No.35】
PAGE TOP