城の石垣の基本の積み方と、意外すぎる石材調達法

監修/萩原さちこ 取材・文/平野鞠

城の基礎知識や、名将達の戦略について掘り下げていくこの連載。前回の記事、「単なる装飾だけじゃなかった!美と実用を兼ねた城の「破風(はふ)」の利用法」では、城を美しく彩る装飾付きの屋根「破風」についてご紹介しました。

今回は城を支える石垣に注目したいと思います。つい見逃してしまいがちな石垣も、よく見てみると様々な発見に出会えるはずです。

■地震大国ならではの工夫も!石垣の積み方の基本6パターン

同じように見える城の石垣ですが、実は3種類の加工と2種類の積み方が基本となっており、全部で3×2=6パターンに大別することができます。

まずは3種類の加工方法を見ていきましょう。

まず、加工していない石をそのまま積んだのが「野面積(のづらづみ)」です。見た目は荒っぽいですが、頑丈で排水性にも優れているのが特徴です。

表面を平らにし、石材を打ち砕いて積み上げ、隙間に小石を詰めているのが「打込接(うちこみはぎ)」です。

打込接よりさらに加工して、サイズや形の違う石をパズルのように組み合わせるのが「切込接(きりこみはぎ)」です。

さらに積み方について2種類あります。大きさの違う石を自由に積んだものを「乱積(らんづみ)」といい、横に目地を通して積んだものを「布積(ぬのづみ)」といいます。この違いについては、目地で判別可能です

また、中国や韓国の石垣はほぼ垂直なのに対し、日本では緩い勾配がつけられているのにお気づきでしょうか。これは地震大国である日本ならではの工夫で、高い石垣を安定させる目的があります。その姿は扇のように見えるため、「扇の勾配」とも呼ばれます。

■墓石や石仏などを石垣に使用した理由とは

さて、石垣に使われる石の中には、実はもともと墓石や石仏、燈籠、石棺、石うすなど他の用途で使われていたものもあります。これらは石材不足の場合などに用いられる「転用石」というものです。

大和郡山城(奈良県)では、周辺の寺院から手当たり次第代用できそうなものを集めたとみられ、何と石仏が頭から突っ込まれている部分もあります。また、石材不足を補うだけではなく、前の領主などの墓石を石垣に使うことで権力を誇示していたとも考えられています。

明確に権力を象徴するものとして「鏡石」があります。これは本丸や二の丸などの虎口(こぐち)に置かれる巨石のことで、徳川大坂城の本丸桜門にある蛸石といわれる鏡石は、最大幅12m、高さ5.5m、推定重量は100トン以上もの巨大なものです。

*  *  *

以上、今回は城の石垣の積み方と、石材の調達法についてご紹介しました。城を訪ねた際は、ぜひ石垣にもじっくりご注目くださいね。

ちなみに、石垣の色も地域によって差があるものです。これについては過去の記事「なんと赤や青の石垣も!地域によってここまで違う城の石垣と瓦」を読んでみてください。

次回も城に関するトピックをお届けします。詳しくはぜひ『図説・戦う城の科学 古代山城から近世城郭まで軍事要塞たる城の構造と攻防のすべて』(萩原さちこ著)をご覧ください。

取材・文/平野鞠
監修/萩原さちこ

萩原さちこ(はぎわら・さちこ)
1976年、東京都生まれ。青山学院大学卒。小学2年生で城に魅せられる。 大学卒業後、出版社や制作会社などを経て現在はフリーの城郭ライター・編集者。 執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座、ガイドのほか、「城フェス」実行委員長もこなす。 おもな著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、 『お城へ行こう! 』(岩波ジュニア新書)、『今日から歩ける 超入門 山城へGO! 』(共著/学研パブリッシング)など。 公益財団法人日本城郭協会学術委員会学術委員。

【出典】
『図説・戦う城の科学 古代山城から近世城郭まで軍事要塞たる城の構造と攻防のすべて』
(萩原さちこ・著、本体1,100円+税、SBクリエイティブ)

http://www.sbcr.jp/products/4797380781.html

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