亀の子スポンジ324円。色はイエロー、ホワイト、グレーの3色。しゃれたパッケージはグラフィックデザイナー菊地敦己さんによるもので2017年の日本パッケージデザイン大賞を受賞した。

文・写真/秋山都

とくにこれといった理由がなくても、誰かにギフトを渡すことがある。「この間お茶をごちそうになったから」とか、「お芝居のチケットをとってくれたから」とか、ささいな理由にかこつけて小さなものを渡すのだが、いくら安かったと言っても、好みにあわない装飾品をもらっても置き場に困るだけだ。

この場合は、もらった方も負担にならない少額のもので、しかも誰でも使える〝消えもの″(主にテレビ業界用語で食品や消耗品のことを指す)が望ましいだろう。

そんなプチギフトに最適なのが「亀の子スポンジ」。明治40年に棕櫚(しゅろ)製のタワシを発明し、以来110年の長きに渡り、大げさではなく日本のタワシ界をけん引してきた『亀の子束子 西尾商店』による大ヒット商品なのだという。タワシで「洗う」ことを極めてきた亀の子束子が独自に開発した食器洗い用スポンジだ。

このスポンジの特長は、ほどよく目が粗いので水切れと泡切れがよく長持ちであること。この「切れがよい」というのがいかに水仕事のストレスを軽減してくれるかは、一度このスポンジを手にした者のみが知る境地だ。

「先日いただいたアレ、悪いけどもう一個買ってきてくれない?」などとリピーターが多いことからも、このスポンジの実力を推しはかることができる。

このほどマイナーチェンジで銀イオンを全体に練りこんだことにより、抗菌効果が旧商品の6倍も長持ちするのも好ポイントのひとつだ。

どこででも買えるものではない、ということもこのスポンジの付加価値になっているだろうか。

国内390か所ほどのセレクトショップなどで取り扱われているものの、確実に入手するなら、東京・滝野川の本店、谷中のアンテナショップなどの直営店か、自社によるネット通販がおすすめだ。

「亀の子束子 谷中店」は、亀の子束子 西尾商店によるアンテナショップ。千駄木と根津を縫うようにつなぐ小道沿いにある小さな店は、まるでファッション雑貨を扱うブティックのように、タワシやスポンジがスタイリッシュにディスプレイされている。

谷中の「へびみち」と呼ばれるクネクネした小道沿いにある「亀の子束子 谷中店」。

【亀の子束子 谷中店】
■住所/東京都台東区谷中2-5-14C
■アクセス/東京メトロ千代田線「千駄木」駅徒歩5分
■電話/03-5842-1907
■営業時間/11:00~18:00
■定休日/月曜(祝祭日の場合は翌火曜)
■オンラインショップ/www.kamenoko-tawashi.co.jp

たかがスポンジというなかれ。納得したモノを日常的に使う心地よさは意外にも日々の気分を左右する。そんな小さな幸せを数百円で贈れるプチギフトのアイデアを、これからも探していきたい。

文・写真/秋山都
編集者・ライター。元『東京カレンダー』編集長。おいしいものと酒をこよなく愛し、主に“東京の右半分”をフィールドにコンテンツを発信。谷中・根津・千駄木の地域メディアであるrojiroji(ロジロジ)主宰。

 

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