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軍事施設としての城の楽しみ方をご紹介するこの連載。前回の記事「秀吉の鳥取城攻めでは餓死者が続出!戦国時代の残酷な“城攻め”あれこれ」では、城攻めについてお話ししました。

城は、目まぐるしく動く情勢下で試行錯誤されながら進化していったのです。

第3回目は、地域による城の違いについてお話ししようと思います。

より耐久性のある城を作るためには、地域の特徴に合わせて工夫することは必要不可欠。そのため、一見同じような城でも様々な違いを見ることができるのです。

■江戸城の石垣は2色の石を使用していた

和歌山城や徳島城では緑色の石垣が見られます。これは紀州青石や阿波青石という特産の緑泥片岩を使っているから。緑泥片岩は中央構造線の南側に多く見られる、低温でできた変成岩です。

また、金沢城の石垣は赤や青など色味が違っています。これは地元産の戸室石というもの。凍寒や耐火性に優れていて、溶岩が冷えるときの条件で石の色が変わるという特徴があります。

黒っぽい石と白っぽい石が混在しているのは江戸城。

黒っぽいものは築城時に伊豆周辺から運ばれた安山岩で、白っぽいものは改築時に瀬戸内海から運ばれた花崗岩(御影石)です。瀬戸内海沿岸の花崗岩は強度が高いため、補強のために使われたと考えられています。

■地域によっては石や鉛の瓦を使っている

ちなみに、城の瓦にも地域によって特徴があります。

一般的な城の瓦は、粘土を焼いたものです。しかし、丸岡城(福井県坂井市)の天守の屋根には地元産の石瓦が使われています。

会津若松城には、寒冷対策として鉄分の多い釉薬が塗られた赤瓦が使われています。

ほかには、金沢城の瓦も独特です。この城の三十間長屋では、耐水性と耐久性を高めるため、木製の下地に鉛板を張りつけた鉛瓦が見られます。

つい見落としがちな石垣や城にもこんなに違いがあるんですね。城めぐりの際は、是非注目してみたいものです。

次回も、教科書にはあまり出てこない、城にまつわる様々なトピックをお届けします。 詳しくはぜひ、『図説・戦う城の科学 古代山城から近世城郭まで軍事要塞たる城の構造と攻防のすべて』をご覧ください。

 

取材・文/平野鞠
監修/萩原さちこ

萩原さちこ(はぎわら・さちこ)
1976年、東京都生まれ。青山学院大学卒。小学2年生で城に魅せられる。 大学卒業後、出版社や制作会社などを経て現在はフリーの城郭ライター・編集者。 執筆業を中心に、メディア・イベント出演、講演、講座、ガイドのほか、「城フェス」実行委員長もこなす。 おもな著書に『わくわく城めぐり』(山と渓谷社)、『戦国大名の城を読む』(SB新書)、 『お城へ行こう! 』(岩波ジュニア新書)、『今日から歩ける 超入門 山城へGO! 』(共著/学研パブリッシング)など。 公益財団法人日本城郭協会学術委員会学術委員。

【参考図書】
『図説・戦う城の科学 古代山城から近世城郭まで軍事要塞たる城の構造と攻防のすべて』
(萩原さちこ・著、本体1,100円+税、SBクリエイティブ)

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