ライターI(以下I):第10回にして、いよいよ前半戦の歴史上の重要事件が描かれました。
編集者A(以下A):「寛和(かんな)の変」と称される事件です。藤原兼家(演・段田安則)がめぐらした陰謀といわれています。天皇の側に仕える蔵人に就いていた兼家次男の藤原道兼(演・玉置玲央)が花山天皇(演・本郷奏多)をそそのかして、退位、出家をさせて、兼家の孫の懐仁親王(演・石塚陸翔)が即位したというものです。
I:天皇を騙して出家させたということですよね。死人は出ませんでしたが、これは重大な事件かと思います。『光る君へ』では、前々週から陰陽師の安倍晴明(演・ユースケ・サンタマリア)と兼家が談合したうえで、晴明が花山天皇に、女御で前年に亡くなった藤原忯子(演・井上咲楽)が成仏するためには、天皇が出家するしかないとそそのかしていました。
A:天皇側近くに仕える道兼も自傷の跡を、父兼家から折檻を受けた傷だと偽り、天皇から信用を得るという念の入れようでした。まひろ(演・吉高由里子)の父藤原為時(演・岸谷五朗)も知らぬ間に謀略に巻き込まれるなど、その仕掛けが大規模でした。
I:実際にこれほどの大仕掛けだったかどうかはともかく、「兼家の陰謀」を強く印象づける演出になりましたね。
【大河初登場の「寛和の変」。次ページに続きます】