王朝文化が花開いた平安時代中期。『源氏物語』を著し、中宮彰子の側近になった紫式部の生涯を追う大河ドラマ『光る君へ』。ドラマをより楽しむため、見どころを紹介する。

内裏で行なわれた五節の舞を舞うまひろ( 吉高由里子)。雅な装束や舞などが、華やかな平安文化を感じさせる。(C)NHK

2024年の大河ドラマ『光る君へ』。歴代大河ドラマ全63作中、2番目に古い時代を扱う本作は、ほとんど合戦がなく、王朝文化が最も成熟した頃の平安貴族の暮らしぶりを垣間見ることができる作品としても注目を集めている。

物語の主人公は、『源氏物語』の作者、紫式部 。史実では名前ははっきりと伝わっていないが、本作では幼少期より「まひろ」の名で呼ばれている。貧しい文官の家に生まれたまひろは、父為時(岸谷五朗)がまひろの弟惟規に読み聞かせる書物を陰で聞いては諳(そら)んじる聡明な少女であった。長じたまひろ(吉高由里子)は、達筆な書と文才を活かして、市井で男性の代筆をして恋文を認(したた)めるなどして過ごしていた。

すれ違う恋と宿敵

まひろが運命的に出会ったのが、高級貴族の家に生まれた道長(柄本佑)だった。お互いの本名や出自も知らぬまま、惹かれ合っていった。しかし、幼い頃に母のちやは(国仲涼子)を巡って因縁のある人物が道長の関係者であると知り、複雑な心境に陥る。

『源氏物語』を著す以前の紫式部(まひろ)が、陰謀うごめく平安貴族社会でどのように振る舞い、活路を見出したか。長く続く権力者道長との関係はどのように変化していくのか、見どころは多い。

平安貴族が嗜んだ馬術競技「打毬(だきゅう)」をする道長(柄本佑)。舞や打毬など当時の文化の再現も本作の魅力だ。(C)NHK

【インタビュー】主人公・まひろの夫役佐々木蔵之介さん(俳優・55歳)

「つつましく懸命に生きる、まひろらを支える役柄です」

佐々木蔵之介(ささき・くらのすけ)
昭和43年、京都府生まれ。神戸大学農学部卒業。NHK連続テレビ小説『オードリー』はじめ、ドラマや映画など多数出演。

『光る君へ』の主人公まひろ(紫式部/吉高由里子)の夫となる貴族の藤原宣孝を演じるのは、『風林火山』『麒麟がくる』に続き3作目の大河ドラマ出演となる俳優の佐々木蔵之介さんだ。

「僕は京都出身ですから、京都を舞台にした物語に出演させて頂くことには、ご縁を感じています」

佐々木さんにとって京都御所は馴染み深い場所だという。

「京都御所には子どもの頃、蝉をとりにいったり、今も帰省すると御所を巡り、鴨川でのんびりするのが散歩コースのひとつです」

まひろ一家を温かく見守る

宣孝(左/佐々木蔵之介)とまひろ(吉高由里子)の父為時(右/岸谷五朗)は、年頃も近い職場の同僚。明るい宣孝と、真面目一徹の為時の対比がおもしろい。(C)NHK

これまでにもテレビドラマ『陰陽師』で安倍晴明を演じている佐々木さんだが、平安時代の装束には慣れるものではないそう。

「袖からわずかに出た指先で盃をとって酒を飲んだりするわけです。僕は身長182cm。その上に烏帽子を被るので、屋敷の中での移動もなかなか大変です」

そういっておどけて見せる佐々木さん。ドラマに登場してしばらくは、まひろの父為時(岸谷五朗)の屋敷を訪れては話し相手をするといった役どころだ。

「宣孝は世渡り上手で出世もしていますが、為時一家が、つつましく、一生懸命生きている様子を見て、応援しています。まひろの幸せを願っているんですね」

史実ではやがて紫式部と結ばれ、後にその死が紫式部の『源氏物語』執筆のきっかけのひとつになったともいわれる宣孝。愛嬌ある笑顔を見せる佐々木さんが、どのように演じるか、期待したい。

※この記事は『サライ』本誌2024年2月号より転載しました。

『サライ』2024年2月号特集は『「紫式部」を読み解く』。

 

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