腰痛や坐骨神経痛を改善するにはストレッチが効果的、ということはご存知かもしれません。
しかしどのようなストレッチをおこなったら良いのか、わからなくて困ることはありませんか?
今回は腰・お尻・太ももの裏など、痛む部位別に効果的なストレッチをご紹介します。
痛む部位によって効くストレッチが違う理由
筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、腰痛や坐骨神経痛を改善するストレッチを指導しますが、どのようなストレッチをおこなったら良いかは、どこに痛みがおこるか、痛む部位によって判断をしています。
なぜ痛む部位によってストレッチの方法が変わるのか? それは痛みを起こしている筋肉が違ってくるからです。
次の画像をみてください。
【1】
【2】
画像の赤い部分が実際に痛みの出ている部位で、×印がついている部分がその痛みの原因となる筋肉、またその筋肉の中でとくに痛みを起こしているポイントとお考えください。
【1】では腰からお尻にかけて痛みが出ています。【2】では太ももの裏に痛みが出ています。このような症状は病院では坐骨神経痛と診断されるでしょう。
しかし実は、【1】は中殿筋(ちゅうでんきん)というお尻の筋肉の緊張(強いこりや、はり)が原因で痛みが起こるパターンで、【2】はハムストリングという太もも裏の筋肉の緊張が原因で痛みが起こるパターンです。
神経ではなく、筋肉自体から痛みが起こっているのです。
したがってこのような症状の場合、それぞれ中殿筋やハムストリングをストレッチすることで痛みをやわらげることができます。
このように痛みの原因となる筋肉の緊張(画像の×印の部分)は発痛点=トリガーポイントと呼ばれ、トリガーポイントによる痛み症状は、筋筋膜性疼痛症候群といわれます。
トリガーポイント・筋筋膜性疼痛症候群について、本連載ではおなじみですが、詳しくは以下のページもご参考になさってください。
腰痛・坐骨神経痛のトリガーポイント治療(https://www.re-studio.jp/backpain/pg122.html)
痛む部位別ストレッチ
それではこれから実際の痛む部位別のストレッチをご紹介していきます。
ストレッチを安全に効果的におこなうためには、いくつか注意するべきことがあります。以下の注意事項をよく理解して行なってください。
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVD(https://www.re-studio.jp/dvd.html)より
腰が痛むときのストレッチ
以下の画像のように腰、主にベルトのラインより上のあたり、に痛み(赤い部分)がある場合のストレッチです。
このストレッチでは脊柱起立筋など背骨や腰周囲の筋肉をストレッチすることができます。
脊柱起立筋のトリガーポイントによる痛み
仰向けに寝て片脚を90度持ち上げます。そこから持ち上げた脚を反対に倒すようにして腰を捻りましょう。
下の図の場合は、左脚を持ち上げてから右に倒すようにしています。
腰からお尻にかけて心地よく伸びたところで止め、30~60秒ほどキープします。呼吸は楽に続けて、息を止めないようにしましょう。
できる方は、顔を倒した脚と反対側に向けるとよりストレッチがかかります。
身体の力をできるだけ抜きます。とくに伸びている腰やお尻の力を抜くようにしましょう。力んでしまうと十分に筋肉が伸びません。
終わったらゆっくりと戻し、反対側も同じように行ないましょう。それぞれ2~3回ずつ行なってください。
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化するときはやめてください。
お尻が痛むときのストレッチ
以下の画像のように、お尻に痛み(赤い部分)がある場合に効果があります。
大殿筋・中殿筋・梨状筋などお尻、骨盤、股関節周囲の筋肉を伸ばすストレッチです。
大殿筋のトリガーポイントによる痛み
中殿筋のトリガーポイントによる痛み
梨状筋のトリガーポイントによる痛み
自宅で出来る!腰痛トレーニング(https://www.re-studio.jp/dvd.html)より
仰向けで両膝を立て、片方の足首を反対の膝に乗せます。
そのまま腿の裏を両手で抱えて胸に引き寄せます。
お尻から腿の裏側にかけて心地よく伸びたところで止め、30~60秒ほどキープします。呼吸は楽に続けて、息を止めないようにしましょう。
身体の力をできるだけ抜きます。とくに伸びている部分の力を抜くようにしましょう。力んでしまうと十分に筋肉が伸びません。
終わったらゆっくりと戻し、反対側も同じように行ないましょう。それぞれ2~3回ずつ行なってください。
腿の裏を持つことが楽に行える場合は、上の画像のようにすねを持ってみてください。
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化するときはやめてください。
太ももの裏が痛むときのストレッチ
以下の画像のように、太ももの裏に痛み(赤い部分)がある場合に効果があります。
ハムストリングなど太もも裏の筋肉を伸ばすストレッチです。
このストレッチでは、バスタオルなどを使用します。
自宅で出来る!腰痛トレーニング(https://www.re-studio.jp/dvd.html)より
仰向けになり、バスタオルを片脚のつま先あたりにかけます。
そこからバスタオルを引っ張るようにして脚を上に伸ばしていきます。
腿裏からアキレス腱にかけて心地よく伸びたところで止め、30~60秒ほどキープします。呼吸は楽に続けて、息を止めないようにしましょう。
身体の力をできるだけ抜きます。とくに伸びている部分の力を抜くようにしましょう。力んでしまうと十分に筋肉が伸びません。
終わったらゆっくりと戻し、反対側も同じように行ないましょう。それぞれ2~3回ずつ行なってください。
痛みのためにこの姿勢ができない、またはこの姿勢をとると症状が悪化するときはやめてください。
また、膝の裏を両手で持つ方法や、座ってタオルで伸ばす方法などもありますので、次の画像を参考におこなってみましょう。
この記事があなたの腰や脚の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。
また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
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拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html