腰痛や坐骨神経痛にともなって、股関節が痛んだり、つまるような違和感を感じたりすることがあります。
このような症状は、股関節周辺や深部の筋肉をほぐすことで改善することができます。
今回はその方法を解説します。

股関節の痛みやつまり感の正体

股関節が痛んだりつまるような感じがしたりする原因には様々なものがありますが、股関節周囲や深部の筋肉の緊張がその原因になっていることがあります。

股関節のまわりにはたくさんの筋肉がありますが、痛みやつまり感の原因になりやすいのは中殿筋と小殿筋です。

この図は骨盤と股関節を左横から見た図です。図の左側が体の前方(お腹側)、右側が後方(おしり側)になります。

中殿筋と小殿筋は、この図のように骨盤から股関節につながる扇のような形をした筋肉で、股関節の一番奥に小殿筋があり、その上を覆うように中殿筋があります。

どちらも股関節を動かしたり支えたりする筋肉です。

これらの筋肉は、

■長時間座りっぱなし、または立ちっぱなし
■運動不足
■筋力低下

などが続くと徐々に緊張してこり固まってしまいます。

すると段々股関節を動かしづらくなってきてつまり感を感じたり、さらに進むと痛みを感じるようになってしまいます。

これが股関節の痛みやつまり感の正体なのです。

股関節の痛みやつまり感を改善するには

中殿筋や小殿筋の緊張、つまりこり固まった状態が痛みやつまり感の原因であれば、そこをほぐすことで改善することができます。

股関節の筋肉をほぐすには様々な方法がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、テニスボールでほぐす方法をおすすめしています。

以下を参考におこなってみましょう。

硬式のテニスボールをひとつご用意ください。または最近は同じような大きさのマッサージボールが多数市販されていますので、そちらを使っていただいても大丈夫です。

中殿筋をほぐす

まず中殿筋をほぐす方法ですが、以下の図でおおよその場所をイメージしてください。

図は殿部(お尻)を後ろから見たところです。テニスボールマークの部分が当てたい場所です。

一番上の赤い線が、だいたいベルトのラインくらい、一番下の赤い線がお尻の下のライン、真ん中の線がその中間です。

黒い点線は腸骨稜という骨盤の上側の骨の際のラインです。当てたい場所は、この腸骨稜の骨の際のやや下のあたりとなります。

腰や股関節がつらいと、この辺りをトントンと叩きたくなるのではないでしょうか?

この図では右だけにマークをつけていますが、もちろん左も同様です。

注意)実際に使うボールはひとつだけです。

お尻のあたりにボールを当てようとすると、つい腰を持ち上げて上から乗っかってしまうかもしれませんが、この方法だといきなり強い刺激がかかってしまいますので、あまりおすすめできません。

下の画像のように身体を傾けるようにして、ゆっくりとボールに体重を乗せるようにしましょう。

自宅で出来る!腰痛トレーニングDVDより(https://www.re-studio.jp/dvd.html

身体を少し傾けるようにして、ボールを骨盤の骨際のやや下あたりに入れ、ゆっくりと体重をかけてみましょう。

そして息を吐いて身体の力を抜いていきます。とくにボールが当たるところの力をうまく抜くようにしてください。

多少痛みがあったりすると、つい当てている部分に力が入ってしまうと思いますが、そうすると筋肉が固まってうまくほぐれません。

あえて力を抜くようにすることで、奥の方までほぐすことができます。

グリグリと転がすように刺激するのは、痛みがある時にやると逆に痛みが増したりしますので、やらないようにしましょう。

ツボを押されているような、痛気持ちいいくらいの感覚がベストです。

その状態で10~20秒ほど当てたら、また身体をかたむけて体重をはずし、少しボールをずらします。

1cmずつくらいずらして、効くところを探してみましょう。ちょっとした位置やボールを当てる角度により効く感じが変わると思いますので、「どのへんが効くかな?」とボールを細かくずらしながら探してみてください。

少しずつ場所をずらしながら、左右の中殿筋をまんべんなくほぐしてみてください。

小殿筋をほぐす

次に小殿筋をほぐしていきます。

小殿筋のポイントですが、以下を参考に探してみましょう。

仰向けになった時に、上の図のように足のつけ根で骨盤の骨の飛び出ているところを探してください。

そこから斜め下(体の真横)のところが小殿筋をねらうポイントになります。

おおよそポケットの入口あたりで、関節の隙間の部分になります。

そこにボールを当てながら、下の画のように、膝を開くようにして優しく体重をかけていきます。

これだけでもかなり効く感じがあるかもしれません。

これで痛みが強いようなら、脚を戻したりまた体重をかけたりと繰り返して刺激してみましょう。

大丈夫な場合は、上の画のように、横向きに寝るようにしてテニスボールにより体重をかけてみましょう。

できるのであれば、完全に真横になって体重を乗せてみます。

ボールがあたっているところや、そこから脚にかけてじんわり痛気持ち良い感じがあればベストです。

そのまま息を吐いて身体の力を抜きます。とくにボールが当たるところの力をうまく抜くようにしてください。

多少痛みがあったりすると、つい当てている部分に力が入ってしまうと思いますが、そうすると筋肉が固まってうまくほぐれません。

あえて力を抜くようにすることで、奥の方までほぐすことができます。

痛みがある時にやると逆に痛みが増したりしますので、グリグリと転がすように刺激することはやめてください。

10~20秒くらい刺激したら元に戻ります。

すると、ボールを当てたところや足全体がホカホカと感じるでしょう。

この時に“小殿筋”やその周囲の血行が良くなり、筋肉がゆるんでいきます。

逆に重だるい感じや不快な感じが残る場合は、刺激が強すぎるかもしれません。

体重のかけ方を軽くして、あくまで痛気持ち良い程度におこなってみましょう。

それでも痛過ぎたり、かえって痛くなったりするようであれば中止してください。

ホカホカと血行が良くなる感じが少し落ち着いたら、またおこなってみましょう。

これを何度か繰り返していきます。

終わったあとに股関節が軽くなる、足全体が軽くなる感じなどがあればOKです。

やりすぎると逆に痛みが増すことがあるので注意してください。

この記事があなたの腰や脚の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。

また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。

ぜひお読みください。

正しい座り方とストレッチで腰痛予防! イスに座ったままできるストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第90回】(https://serai.jp/health/1075855

3分で腰の疲れをとって腰痛を予防! 誰でも毎日できる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第88回】(https://serai.jp/health/1070834

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文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html

腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(健康プレミアムシリーズ)川口陽海(著/文) 永澤守(監修) 発行:アスコム
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