腰や骨盤、股関節周囲の筋肉が緊張しているために背骨がゆがみ、腰痛や坐骨神経痛が治りにくくなっていることがあります。
このような時は、それらの筋肉をストレッチすると背骨が矯正され、痛みなどの症状を改善することができます。
その簡単な方法を解説します。
腰や骨盤の筋肉が固まってゆがみがおこるメカニズム
腰や骨盤のまわりにはたくさんの筋肉がありますが、次のようなことで疲労が蓄積すると、緊張が続いて固まってしまいます。
◆長時間のデスクワーク
◆車や電車、飛行機などでの長時間移動
◆家事や庭仕事、力仕事
◆寝不足や寝すぎ
◆運動不足
たとえば、背骨から骨盤、股関節にかかわる筋肉として、腰方形筋(ようほうけいきん)や大腰筋(だいようきん)、腸骨筋(ちょうこつきん)があります。大腰筋と腸骨筋はあわせて腸腰筋(ちょうようきん)とも言われます。
腰方形筋は、上図のように肋骨と骨盤をつなぐように走行している筋肉ですが、骨盤や背骨を支える役割を担っています。
長時間のデスクワークや車の運転、交通機関での長距離移動などが続くと、腰を支え続けるためにこの筋肉が疲労します。
疲労は左右均等におこるとは限らず、ちょっとした姿勢やクセで左右どちらかにより負担がかかってしまう、ということがままあります。
すると左右の筋肉の緊張や長さのバランスが崩れます。
例えば下の画像は腰方形筋を前から見た図ですが、向かって右側、つまり体の左側に負担がかかっていた場合の腰方形筋のバランスの崩れ方を解説しています。
左腰方形筋は疲労のため収縮(緊張)して固くなります。すると左側の肋骨と骨盤を近づけるようなかたち、つまり背骨が左に傾くような方向でゆがみがおこります。(下図)
腸腰筋は、下の図のように、収縮することで大腿骨を持ち上げるように動かし、股関節を曲げる筋肉でもあります。
この筋肉も長時間座ったままの姿勢が続くと、疲労から緊張して固くなり、縮んで股関節が完全に元のように伸びなくなってしまいます。
この筋肉も左右均等には緊張せず、その長さや固さのバランスが崩れると骨盤が前後、左右、ねじれなどの複雑なゆがみがおこります。
このような緊張やゆがみが短期間で解消されれば、ゆがみも自然にもとに戻ります。
しかし疲労や緊張が長期間続きゆがみが定着してしまうと、それによりまた筋肉も元に戻りづらくなり、さらにゆがみが進行して緊張もひどくなる……、という悪循環がおこり、そのどこかで腰や脚に痛みが出ると、治りにくくなってしまうのです。
背骨骨盤まわりのゆがみを治す簡単ストレッチ
これまで見たように、背骨や骨盤まわりの筋肉が緊張すると、その長さや固さなどのバランスが崩れ、つながっている背骨や骨盤をひっぱって固まるためにゆがみがおこります。
またそのために腰や骨盤まわり、脚などに痛みが出てしまい、治りにくくなってしまうのです。
しかしそれが原因であれば、ストレッチなどでそれら筋肉の緊張をゆるめ、長さや固さをもとのように改善すれば、痛みなどの症状も治ります。
背骨や骨盤まわりのストレッチには様々な方法がありますが、筆者の腰痛トレーニング研究所(https://www.re-studio.jp/index.html)では、器具を使って簡単安全にできる≪大の字ストレッチ≫をおすすめしています。
以下を参考におこなってみてください。
※以下のストレッチでは≪コアヌードル≫というエクササイズ用具を使用していますが、ハーフタイプのストレッチポールや、バスタオルを2~3枚丸めたものなどでも代用することができます。
コアヌードル
バスタオルでコアヌードルを代用する方法
自宅で出来る!腰痛トレーニングDVDより(https://www.re-studio.jp/dvd.html)
コアヌードルやストレッチポール、タオルを丸めたものなど(以下ポール)の上に仰向けになり、両手両足を広げて大の字になります。
ポールに頭からお尻まで、背骨に沿うようにまっすぐに乗ってください。
そこから下腹部を軽く引っ込めるように締め、恥骨をみぞおちに向けて引き上げるようにして腰をポールに軽く押し付けます。
うまく腰を押し付けられない場合は、楽に力を抜いて仰向けになっているだけでも大丈夫です。
そのまま楽に深呼吸をしてください。
この姿勢を楽に保ったまま、深呼吸を3~5分ほど続けてください。
え? これだけ!? と思うかもしれませんが、本当にこれだけです。
これをおこなうことで、普段縮こまっている腰や骨盤、股関節まわりを解放して筋肉をゆるめるストレッチ効果があります。
おこなうタイミングとしては、お風呂から出たあとの身体が温まって血行が良くなっている時が効果的です。
一度で効果が感じられない場合は、何日か続けると効果を感じられるようになるでしょう。
ぜひおこなってみてください。
※ご注意)痛みのためにこのストレッチができない、またはこのストレッチをすると症状が悪化する時はやめてください。
この記事があなたの腰や脚の痛みを改善する一助になりましたら幸いです。
また以下の記事でも様々な腰痛・坐骨神経痛改善エクササイズをご紹介しております。
ぜひお読みください。
浅い呼吸が不調を招く! ろっ骨と背骨をゆるめる簡単呼吸法で腰痛・肩こりを改善【川口陽海の腰痛改善教室 第94回】(https://serai.jp/health/1083643)
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3分で腰の疲れをとって腰痛を予防! 誰でも毎日できる簡単ストレッチ【川口陽海の腰痛改善教室 第88回】(https://serai.jp/health/1070834)
拙著「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい」が、全国書店にて発売となっています。
お読みいただけると幸いです。
文・指導/川口陽海 厚生労働大臣認定鍼灸師。腰痛トレーニング研究所代表。治療家として20年以上活動、のべ1万人以上を治療。自身が椎間板へルニアと診断され18年以上腰痛坐骨神経痛に苦しんだが、様々な治療、トレーニング、心理療法などを研究し、独自の治療メソッドを確立し完治する。現在新宿区四谷にて腰痛・坐骨神経痛を専門に治療にあたっている。著書に「腰痛を治したけりゃろっ骨をほぐしなさい(発行:アスコム)」がある。
【腰痛トレーニング研究所/さくら治療院】
東京都新宿区四谷2-14-9森田屋ビル301
TEL:03-6457-8616 http://www.re-studio.jp/index.html