「ニューヨークのため息」と呼ばれたヘレンメリルのハスキーな歌声。バラードが胸に染み入るカーメン・マクレエの深みのある歌声……。いつの時代にも、その歌声が人々を酔わせた魅力的な女性ヴォーカリストがいた。お気に入りのアルバムから流れ出る彼女たちの歌声は、歳月を経ても色褪せない。が、その魅力に酔えば酔うほど「ああ、この声を、息づかいを、生で聴きたかったな」とも思う。
そして、今こそ聴いておきたい、そう思わせる現役の女性ヴォーカリストの一人がステイシー・ケントだ。
ステイシー・ケントは、アメリカのニュージャージーで生まれ、イギリスに渡った後、ロンドンを拠点に活動し始めたジャズ系のヴォーカリスト。1997年のデビュー以来、10枚を超えるオリジナル・アルバムをリリースしており、2009年には北野たけしが受賞したことでも知られるフランスの芸術文化勲章など、母国アメリカだけでなく、ヨーロッパ各国で多くの賞を受賞している。英語以外に、フランス語、ポルトガルト語も堪能で、文字通り世界規模で活躍するヴォーカリストといえる。
日本にも熱心なファンが多い彼女は、これまでに3度、ブルーノート東京のステージに立っている。ジャズのスタンダード・ナンバーに限らず、歌声が優しく心に届くフランス語のオリジナル・ナンバーや、14歳の頃にスタン・ゲッツとジョアン・ジルベルトの競演盤を聞いてから虜になってしまったというボサ・ノヴァも、たっぷりと披露してくれた。
そんなステイシー・ケントが、日本のファンの期待に応えて再び来日、来春2月12日から3夜連続でブルーノート東京のステージに立つ。
「シンガーとしての実力は言うまでもなく、佇まいがとても素敵なステイシー。知的でエレガント、かつキュートな一面も。彼女の歌声やサウンドと同様に“さり気ないけれどセンス抜群”なファッションも、ライブの楽しみの一つです。クリント・イーストウッドやカズオ・イシグロも、好きなシンガーとしてステイシーの名を挙げていたそうです」と、ブルーノート東京 広報の原澤美穂さん。
夫であり、彼女の作品のプロデューサーでもある、サックス&フルート奏者のジム・トムリンソンをはじめとする、実力派プレイヤーたちも、もちろん帯同。充実したパフォーマンスへの期待が高まる。
「とてもナチュラルで、チャーミングで、穏やか」「なんともいえない品の良さと温かみを感じる」「ドラマチックさを強調するのではなく、とても素直で、いい感じの力の抜け方が魅力的」……ライブ(生)で彼女の歌声を聴き、心を打たれたファンたちの感じ方は、こんなふう。
ジャズ・シーンをリードするトップ・アーティストたちが、ディズニーゆかりの名曲をカバーした新作CD『ジャズ・ラヴズ・ディズニー』(ユニバーサルミュージック)にも参加して、新たな話題を呼んでいるステイシー。まさに、今、生でその歌声を聞きたいヴォーカリスト、ステイシー・ケント。その歌声を、ブルーノート東京で、心行くまで堪能したい。
【ステイシー・ケント公演情報】
■公演日時/
2月12日(日)
[第1ステージ]開場16時、開演17時
[第2ステージ]開場19時、開演20時
2月13日(月)、14日(火)
[第1ステージ]開場17時30分、開演18時30分
[第2ステージ]開場20時20分、開演21時
■出演/
ステイシー・ケント(ヴォーカル、ギター)
ジム・トムリンソン(サックス、フルート)
ジェレミー・ブラウン(ベース)
ジョシュ・モリソン(ドラムス)
グラハム・ハーヴィー(ピアノ、キーボード)
■ミュージックチャージ/8,500円(税込)
■会場/ブルーノート東京
東京都港区南青山6-3-16 ライカビル
ご予約・お問合せ : 03-5485-0088
http://www.bluenote.co.jp/jp/artists/stacey-kent/
文/堀けいこ