格段に甘さを増した焼き芋。美味しくなったのは嬉しいことだが、気になるのが糖質だ。東京農業大学客員教授で、食品科学が専門の津久井亜紀夫さん(84歳)によると、食べ過ぎたり医師から摂取制限を受けたりしない限りは問題ないという。むしろ適切な量を積極的に食生活に取り入れることをすすめている。

「サツマイモに豊富に含まれる不溶性食物繊維は、水を吸うと膨らむのでほどほどの量で満腹を感じることができます。繊維質が多いと消化速度も緩やかになりますから、心配される血糖値の急激な上昇も起きにくいのです」

大腸の蠕動(ぜんどう)を促す不溶性食物繊維が多いサツマイモは、便秘対策としても理想の食べ物。津久井さんも日々実感しているそうだ。

もうひとつ注目したい存在が水溶性食物繊維である。このゲル状の食物繊維も胃や腸で消化吸収されないが、ビフィズス菌、乳酸菌、酪酸菌など、善玉菌と呼ばれる大腸内に共生する有用微生物の栄養源として役立っている。

「善玉菌が優勢であれば、健康に問題を引き起こす悪玉菌は抑え込まれます。近年、これら善玉菌が分泌する酢酸や酪酸のような有機酸が、免疫機能を調整するカギであることがわかってきています」

サツマイモにはほかにも優れた機能性成分がある。サツマイモに含まれるビタミンCは加熱しても壊れにくく、老化予防などの効果が期待できる。ナトリウム排出効果が高いカリウムも豊富だ。つまり塩分の摂りすぎも抑える。

「カロテノイドにも注目したいですね。強い抗酸化力を持つ成分で、体内でビタミンA同様の成分に変換されます。肉色が黄色より橙(だいだい)色の品種に多く含まれています。

アントシアニンも見逃せません。皮の部分や、肉色が紫の品種に多い色素成分で、活性酸素を抑え老化を予防する効果があります」

皮ごと食べることをおすすめ

ところで焼き芋好きには、皮ごと食べる派と、皮は残す派がいる。津久井さんはどちらを推すのか。

「好みで良いと思いますが、シニア世代には皮ごとがおすすめです。皮のすぐ下にはクロロゲン酸という成分が多く含まれますが、この成分はとりわけ抗酸化力が強いからです。抗がん、抗高血圧など多くの作用が報告されています」

サツマイモは優れた栄養食でもあるのだ。

※この記事は『サライ』本誌2025年1月号より転載しました。

『サライ』2025年1月号特集は『極上の「焼き芋」』。

 

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