成熟した大人たちに注目される商品やサービスを顕彰する「サライ大賞」。第23回となる2024年の大賞と4つの部門の選考結果をお知らせします。

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2002年に創設し、今年で23回目となる「サライ大賞」。読者から寄せられた“2024年を象徴する商品やサービス”への投票結果をもとに、『サライ』編集長らによる最終選考が行なわれた。今年は「サライ大賞」のほか、「ライフスタイル部門」「ヘルスケア部門」「トラベル・レジャー部門」「カルチャー部門」の4部門でそれぞれ贈賞が決定。

「サライ大賞」に選ばれたのは「北陸新幹線金沢・敦賀間開業」。建設主体の鉄道・運輸機構と営業主体のJR西日本の合同での受賞となった。

サライ大賞

『北陸新幹線金沢・敦賀間開業』
鉄道・運輸機構 
JR 西日本

北陸新幹線のために開発されたE7系、W7系で運行。日本に受け継がれてきた「和」の価値や美意識に光を当て設計された。12号車は「グランクラス」。写真はW7系。
「空にうかぶ~自然に囲まれ、港を望む駅~」というコンセプトの敦賀駅。敦賀市の鳥であるユリカモメの飛ぶ姿がモチーフ。
開業した6駅の駅舎のデザインには地元の想いが反映されていて、途中下車して楽しむのもおすすめ。

信越・北陸を経由し大阪まで結ぶ計画の北陸新幹線のうち、2024年3月16日に金沢・敦賀間125km、6駅が開業。東京・敦賀間を最速3時間8分で結ぶ。始発、終着駅となる敦賀駅では、1階が特急、3階が新幹線ホームで上下乗り換え駅となる。乗り換えルートが一目でわかる誘導案内サインを床面等に設置。乗客がスムーズに乗り換えられるような工夫がなされている。

「能登復興の原動力としても大いに期待したいです」(サライ編集長・吉尾拓郎)

ライフスタイル部門賞

『パークウェルステイト西麻布』
三井不動産レジデンシャル

35階に位置するスカイダイニングは天井高5m超の吹き抜けになっている。都心のパノラマが広がる贅沢な空間で、帝国ホテル提供の豊富なメニューを楽しめる。
食事は「選ぶ愉しみ」が感じられるよう設計。例えば夕食は、主菜・副菜・デザートを数種類から選択可能なプリフィクス形式。

ライフスタイル部門賞に選ばれたのは三井不動産レジデンシャルが手がける『パークウェルステイト西麻布』。古くからの高級住宅地である西麻布に、最高峰のシニアレジデンスとして誕生。有料老人ホームとしては国内初となる全館で顔認証システムを導入し、鍵を持ち歩かずに生活が可能。ウェルネスフロアでは歩くだけでも無理なく健康になる工夫がされたウェルネスプールや、健康維持をサポートするプログラムも提供。さらに約2200平方メートルのプライベートガーデンを有し、約260本の樹木が季節ごとに彩りを添える。

「住み替えの選択肢にシニアレジデンスを選ぶ人が増えているが、ここはすべてがハイクォリティ」(サライ編集室室長・三浦一夫)

ヘルスケア部門賞

『アイス de ヤクルトジェラート&ミルク』
ヤクルト本社

ヤクルト初のアイスクリーム「アイス de ヤクルト」のシリーズ商品として2023年10月に発売。シリーズ2品のアソートセットは、今年のお中元として好評を博した。
カップのどこにスプーンを入れても、2種類のアイスがちょうど半分ずつすくえるように、渦巻きの角度を決めたという。

ヘルスケア部門での贈賞が決定したのは『アイス de ヤクルト ジェラート&ミルク』。ヤクルト独自の乳酸菌の魅力を飲料だけでなくアイスでも知ってもらいたいと開発された「アイス de ヤクルト」のシリーズ商品。ヤクルトの風味が感じられるジェラートと、生クリームのコクが感じられる濃厚なミルクアイスを、渦巻き状に織り交ぜたカップアイス。

ヤクルトのさわやかな甘酸っぱさを最大限に引き立てるため幾度も試作を重ねたアイス。濃厚なミルクアイスと混ぜることでより深い味わいにしたいと開発。美味しくさらに食べ飽きない味を追求し、バランスを整えた。見た目だけでなく、ふたつのフレーバーが口の中でちょうどよく溶け合うよう、試行錯誤の上にできたのがこの渦巻きだ。

「くせになる味わい。乳酸菌シロタ株入りで、アイスも美味しく食べられるという、一石二鳥の優れものです」(サライ.jp 編集長・稲葉成昭)

「甘い物が欲しい時のみならず、食欲が湧かないような時にも、アイスだったら食べられる人も多いのではないでしょうか」(吉尾)

トラベル・レジャー部門賞

『バンヤンツリー・東山 京都』
バンヤンツリー・東山 京都

「秘すれば花」をテーマにした客室には、金箔などの高級素材を目立たないように使用。全52室すべてにヒバ材を使ったバスタブが設置されている。
メインダイニング「りょうぜん」では和食を提供。写真は朝食の一例で、京野菜など地元食材をふんだんに使い、ご飯は土鍋炊き。

トラベル・レジャー部門賞に選ばれたのは隈研吾さんが監修した東山中腹に立つ天然温泉付きアーバンリゾート『バンヤンツリー・東山 京都』。シンガポールを拠点にする世界的なホテルチェーンが日本へ初進出。国産木材を随所に用いた低層建築が周囲の緑に溶け込むようにデザインされている。敷地内にある同じく隈研吾さんデザインの能舞台は、東山の竹林や木立がそのまま舞台の背景となっている。能や狂言に限らず、幅広い舞台芸術を計画中だという。

「周囲の環境に溶け込むような低層建築と、京都では珍しい天然温泉が魅力です」(三浦)

カルチャー部門賞

『京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 
伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ?!展』
福田美術館

普段は美術館に興味がない層にも訴えかけるため、インパクトのあるデザインに。
美術ファンでなくとも楽しめるように、果物や野菜の種類を特定すると共に、跋文(ばつぶん)にも現代語訳をつけた。
伊藤若冲『果蔬図巻』(部分)寛政2年(1790)以前、福田美術館蔵

カルチャー部門賞は福田美術館で2024年10月12日から開催されている「京都の嵐山に舞い降りた奇跡!! 伊藤若冲の激レアな巻物が世界初公開されるってマジ⁈展」に決定。同美術館の開館5周年を記念し、さらに新発見の伊藤若冲『果蔬図巻(かそずかん)』が初公開されている。他に若冲の作品の中で最初期に描かれたとされる『蕪双鶏図(かぶらにそうけいず) 』をはじめ、初期から晩年までの作品が揃う。さらに同時期に活躍した円山応挙や曽我蕭白などの作品も紹介している。

「奇想の画家が晩年に描いた全長約3mの大作は是非、鑑賞したい作品です」(吉尾)

『サライ』2025年1月号には長さ約76cm『睡蓮〈緑の反映〉』が引き出し付録に。

 

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