名産地の農家が直営。最も状態のいいイモを毎日2〜3種類提供する

手前から時計回りに、ベニアズマの改良種のむさしこがね、むっちりした新品種の栗かぐや、フルーティなあまはづき、鳴門金時系の上品な甘さのむさし金時。

「栗より(九里四里)うまい十三里」。焼き芋が流行した江戸時代に、江戸との距離にちなんで、川越(埼玉県)のサツマイモはそう評された。中でも、埼玉県三芳町上富地区(旧・川越藩上富村)は、「川越いも」の名産地として今も息づく。サツマイモ畑が広がる牧歌的な地区の中心部を通称・いも街道が貫き、その通り沿いに『OIMO cafe』はある。

母体は、江戸時代から320年以上続くサツマイモ農家「むさし野自然農場」。10代目の武田浩太郎さん(44歳)が川越いもの味を広めたいと、平成25年、農場の敷地内に開業した。「子どもの頃から落ち葉を拾い集めてイモを焼いていた私にとって、焼き芋はソウルフード。東京の合羽橋で手頃なつぼを見つけ、独学で焼き始めたのがきっかけです。ほくほく系の品種は水に1時間浸けてから焼くなど工夫しています」と武田さん。

店の奥に広がる「むさし野自然農場」の畑。水はけのよい土でふかふかとしている。栽培に勤しむ武田浩太郎さんは農場10代目。

ほくほく系の品種も人気

自慢のサツマイモは、代々受け継がれてきた落ち葉の堆肥で健やかに育まれる。長期熟成を可能にする独自の室(https://serai.jp/gourmet/1212657)を有しており、品質管理は徹底している。農家直営ゆえに、品種のバラエティも豊かだ。毎日、最も状態のいいサツマイモを選び抜き、カフェでは食感の異なる品種を日替わりで2〜3種出している。

熱源は炭。高さ約1mのつぼの上層にサツマイモを吊るし、遠火で2〜3時間焼く。焼き上がりは11時頃。100gあたり250円。

「近年は全国的にねっとり系の焼き芋が人気を集めていますが、うちの店の一番人気は、ほくほく系のむさしこがね。ベニアズマ系の独自ブランドで、美しい色に焼き上がるため、父が名づけました」

オーブンで焼いた熱々の焼き芋にバニラアイスをのせた「むさし金時のハニースイートポテト」700円。食事メニューもある。

カフェの利用を希望する際は、事前の予約が望ましい。また、農園の敷地内には自社農場で収穫したサツマイモの直売所も併設。好みのイモを購入し、自宅で焼き芋づくりに挑戦するのも一興だ。

併設の直売所で自社農場のサツマイモを販売。最盛期は約8品種並ぶ。川越で約120年の歴史を持つほくほく系の紅赤金時も扱う。

OIMO cafe 上富(かみとめ)

埼玉県入間郡三芳町上富287
電話:090・2729・5236
営業時間:11時〜17時30分(最終注文)
定休日:月曜、火曜(祝日の場合は営業)、年末年始 
交通:東武東上線ふじみ野駅または鶴瀬駅からライフバスで約20分、角屋バス停より徒歩約1分

※この記事は『サライ』本誌2025年1月号より転載しました。

『サライ』2025年1月号特集は『極上の「焼き芋」』。

 

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