贈答品としても人気。4時間かけて焼く“つぼ焼き”の火付け役

熱源はつぼの底に敷き詰めた備長炭。上層にサツマイモを吊るし、炭の遠赤外線とつぼからの反射熱を利用し、間接的に火を入れる。

百花繚乱の焼き芋が提供される昨今。中でも最近は昭和時代に流行したつぼ焼きの専門店が増えている。その火付け役となったのが平成30年に開店した『銀座つぼやきいも』である。

銀座の中心部に構えた店内には、常滑焼のつぼがずらりと並ぶ。手がけたのは富山県の企業だ。「オーナーが50年ほど前に銀座で見たつぼ焼き芋の屋台が忘れられず、その光景を復活させたいと開店しました」と店長の上口憲一さん(55歳)は語る。

昔ながらのつぼ焼きでありながら、現代で受け入れられる焼き芋とは何か。様々な品種を取り寄せ、焼き方を含め、1年半にわたり試行錯誤を繰り返したという。

「銀座の土産物としても相応しい逸品にしたい。そう考え、品種は焼いてから時間が経ってもパサつかない、ねっとり系のべにはるか一種に決めました」と上口さん。

濃密で上品な甘さの「つぼやきいも」。1本1200円、1/2本650円、小サイズ450円。

早朝5時半から準備が始まる

仕込みは早朝から始まる。12時の開店に向け、早朝5時半から熱源となる炭を熾す。熟練の“いも焼き師”を名乗るスタッフたちが終始イモを返しながら、4時間かけてじっくり焼き上げる。さらに、最終的に表面に小さな切り込みを入れて1本ずつ焼き具合を確認するという念の入れようだ。焦げ目なく仕上がった焼き芋はねっとりと柔らかく、キャラメルのように濃密な甘みを湛える。

つぼの中で4時間かけてじわじわ焼くことで、素材の甘みが引き出される。さらに、サツマイモの中から溶けて溢れ出した蜜が加熱され、風味豊かな香ばしさが生じる。

「専門店の多い銀座に恥じぬよう焼き芋だけで勝負しています。サツマイモは同じ品種でも時期により味が変わり、熟成の進んだ春夏はさらにねっとりします。年中、楽しめる味覚だと思います」

店内外の簡易な椅子に座って頬張る客もいれば、贈答箱に詰めて持ち帰る客も。地方から「銀座の味」を求めてやってくる客も多い。閉店は22時。夜遅くまで需要が絶えないのも、銀座ならではだ。

焼き芋を乾燥して、ひと口大にした干し芋「蜜玉」6個入り1680円。
贈答用の箱各種(有料)を用意。包装紙はサツマイモの形を繋ぎ合わせた「銀」の文字が映える絵柄。

銀座つぼやきいも

東京都中央区銀座7-6-4
電話:03・6263・8773
営業時間:12時〜22時、土曜・日曜・祝日12時〜18時
定休日:月曜、年末年始
交通:東京メトロ銀座駅より徒歩約3分

※この記事は『サライ』本誌2025年1月号より転載しました。

『サライ』2025年1月号特集は『極上の「焼き芋」』。

 

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