京都には酒呑み心をくすぐる老舗酒場も多い。酒場といえど、そこは京都。ハッとするような、様式美に満ちた酒場を訪ねた。

『神馬(しんめ) 』の家屋は120〜130年ほど前に建てられた。酒蔵を模した外観は創業時から。
文・案内する人 江部拓弥さん (『あまから手帖』編集長)
グルメ誌『dancyu』編集長を経て、令和4年より現職に。好きな酒は日本酒とビール、好きなつまみは煮凝り。「大阪に移って一番うれしいのは、甲子園球場が近いこと」と語る甲子園ファンで、アマチュア野球の審判資格も持つ。

東京から大阪に居を移して3年。京都は「わざわざ」ではなく、「ぶらり」と訪れる街となりました。

とは言え、不思議なもので、歴史ある酒場の暖簾を潜る時の高揚感や緊張感は少しも変わりません。この時ばかりは、わざわざとぶらりが交錯するんですよね。

ここにしかない酒がある

『神馬』は、しんめ、と読みます。90年以上前から千本中立売(せんぼんなかだちうり)にある酒場。店名もさることながら、地名の読み方がまた厄介。でも通っていくうち、覚えにくかった名前が身体に馴染んでいくから面白いものです。

『神馬』の愉しみは、献立表にあります。旬の魚に野菜、肉を揃え、手書きで認(したた)められた料理の数は百を超えるでしょうか。

きずし
1155円。土佐酢で味わう。
松茸フライ
1980円。11月末まで。
大葉と柴漬けの飯(いい)むし
880円。見目麗しく美味なり。糯米(もちごめ)、水と酒と塩で下味をつけて蒸しあげる。3代目になってからのメニュー。

「居酒屋やから、なんでもありやと思ってます」と、懐(なつ)こい笑顔で話す酒谷直孝さんは3代目。営業中はお燗番として銅製の燗つけ機の前が定位置になります。徳利に注がれる酒は、『神馬』でしか呑めない稀有な酒。

「初代のうちのばあさんが、灘の酒をどれも贔屓せずに売りたいって思ったらしくて、甕(かめ)に全部をぶち込んでブレンドしたんよ。それから、燗はずっと、これです」

更新される料理と、不変の日本酒。『神馬』の妙ですね。

神馬

3代目の酒谷直孝さん。平成28年に店を継いだ。

京都市上京区千本通中立売上る玉屋町38
電話:075・461・3635
営業時間:17時〜21時30分
定休日:日曜
交通:京都バス千本中立売バス停よりすぐ

撮影/内藤貞保

サライ11月号大特集は『京都「美の神髄」』

 

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