旨い蕎麦の乾麵は多々あるが“新蕎麦”を謳うものは少ない。これらを手に入れ、『老舗蕎麦『神田まつや』に教わる、乾麵が格段においしくなる茹で方(https://serai.jp/gourmet/1212512)』の茹で術に倣い、産地の食べ方にちなむ。
東京の乾麵でおかめそば(写真右上)
蒲鉾、しいたけ、だて巻き、海老、青菜などを彩りよくのせていただく。種物をおかめの面のように並べたことからこの名が付いた。あらかじめ下茹でした海老、青菜、甘辛く煮つけたしいたけを用意しておく。だて巻きなどはおせち用の具材が使える。
山形の乾麵で板そば(写真下)
蕎麦処、山形の内陸部の名物として知られる。長方形の板状の浅い器に、数人分の蕎麦を盛り、賑やかにいただくのが「板そば」。客をもてなす「蕎麦振る舞い」の風習の名残だ。専用の器はなくても大きめのザルにたっぷり盛り、皆でつつきながらの年越しもよい。
島田製粉「深大寺そば」
東京・深大寺(調布市)の門前名物が「深大寺そば」。当地の蕎麦店に蕎麦粉を提供している製粉会社がつくった。1尺(約33cm)の蕎麦は深大寺伝統の長さだ。茹で時間は約3分(ざる)。300g、3人前。734円。
東京都三鷹市新川6-6-14
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電話注文 0422・46・1500
みうら食品「新そば 季節限定」
山形の内陸部はどこも蕎麦が名物で、蕎麦店が連なる「そば街道」がある。製造元は東根市で70年以上続く老舗。国内産の蕎麦粉で、ほどよい弾力で喉ごしのよさを追求。茹で時間は約5分(ざる)、200g、2人前。360円。
山形県東根市大字沼沢2030-1
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岩手の乾麵でわんこそば(写真右)
ひと口ですすれる量の蕎麦が椀に入り、客が食べ終わるか終わらないうちに椀に蕎麦が次々に投入される。本場では満腹になるまで続け椀の数を競う。家庭では、蕎麦を小盛りにし、なめこやネギ、もみじおろしなどの薬味を替えながらゆっくり楽しみたい。
長野の乾麵でもりそば(写真左上)
乾麵は茹で上がりを冷水で締めると、食感が一段とよくなる。素早くザルに盛り、伸びないうちにいただきたい。食べたい量を盛り、濃いめのつゆで江戸風に喉のどごしを楽しむもよし、上方風に甘めのつゆにたっぷり浸すもよし。冷たい蕎麦はお酒の締めにも合う。
北舘製麺「季節限定 新そば」
出荷分だけ、新蕎麦を石臼で挽ひき、蕎麦粉が新鮮なうちに製麺する。蕎麦粉を8割使っているため麺の色は濃いめで、茹でるうちに蕎麦の風味が立ち上る。茹で時間は約4分(ざる)、200g、2人前。450円。
岩手県八幡平市叺田176-1
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おびなた「新そば」
蕎麦の名産地である信州戸隠(長野県)で製粉から製麺まで一貫して生産。細麺でつゆがほどよくからまり、喉ごしがよい。薄緑がかった麺が特長だ。茹で時間約3分(ざる)、200g、2人前。891円(3袋)。
長野県長野市戸隠2640
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電話注文 70120・159428
取材・文/宇野正樹 撮影/泉 健太 スタイリング/鈴石真紀子
※この記事は『サライ』本誌2025年1月号より転載しました。