クエの西京焼き
豊後水道で揚がったクエを、白味噌床で漬け込み、まろやかな旨味を引き出した。2500円。

たくさんの店を知るよりも、季節ごとに通う、馴染みの店を数軒だけ。旬の味を自分のペースで楽しんで、居心地のいい一隅で安らぐ。そんな、京の“ええ店”はいかがですか?

八坂石段下から令和7年2月に花街・宮川町へ移転した『食場大野(じきばおおの)』。開業から10年を迎え、店主大野道洋さんの魚の目利きや的確な調理に磨きがかかる。瀬戸内など近海の魚に加え、故郷・熊本県天草と同じ九州の豊後水道から直接仕入れる魚は、常に「今一番食べてほしいもの」だと大野さん。

「魚はもちろん野菜や牛肉も力のある食材を仕入れて、その個性をどう引き出すかが腕の見せ所です」

もみじ鯛と和のスプラウトの鬼おろし和え
夏に甲殻類を食べた濃い旨味の紅葉鯛に、かいわれ大根など和の新芽を合わせて前菜に。

秋に脂がのる紅葉鯛(真鯛)は、薄造りにして、水菜や人参など和の新芽とともに鬼おろしで和え、爽やかな香味と辛みを添える。白身の奥に深い味わいを持つクエは、旨味を膨らませる西京焼きで、しっとりした身の口溶けや風味を際立たせる。身の厚み、味噌との相性、炭の香りの纏わせ方など、食材ごとに塩梅を変える料理は、いつも鮮烈さにはっとさせられる。

近江牛とごぼう、ぎんなんの土鍋ご飯
〆は注文を受けてから炊き上げる土鍋ご飯。この日は近江牛、牛蒡、銀杏。3500円。

前菜、造り、お椀の3品のみ、その日のお薦めをお決まりで。その後は客が好みの料理を選ぶ形式は、割烹初心者にもありがたい。清々しい紀州檜のカウンターに腰掛け、後は焼き物にするか、〆は土鍋ご飯かと迷う時間に心が弾む。花街の雅な佇まいにも惹かれ、またすぐに戻ってきたくなる。

京都の名割烹や魚卸が営む和食店で15年間修業を重ね、平成27年に独立。

食場大野

店名の『食場(じきば) 』は、出身地熊本県天草の地名から取った。ワインにも精通、店内にはセラーも備える。

京都市東山区宮川筋2-267 101 祇園宮川町グランレブリ1階
電話:075・555・3018
営業時間:17時~19時30分(最終入店)
定休日:日曜
交通:京阪本線祇園園四条駅下車、徒歩約6分
https://www.instagram.com/jikibaono/

サライ11月号大特集は『京都「美の神髄」』

 

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