大小約1万4000の島が寄り集まってできた国ニッポン。島から島へと渡る旅で見えてくるのは、多様な地域文化が織りなすわが国のかたち。日本そして世界に足を延ばす島旅の物語。

八重山諸島2泊3日 アイランドホッピング旅程

【1日目】
昼頃 新石垣空港着→車(約40分)→14時頃 平久保埼灯台→車(約50分)→15時30分頃 川平湾→車(約30分)→石垣港離島ターミナル近くに宿泊

【2日目】
石垣港離島ターミナル近辺→車(約10分)→とうふの比嘉→車(約10分)→7時30分頃 石垣港離島ターミナル→高速船(8時発/約50分)→9時頃 西表島・上原港着後散策など→16時20分頃 上原港→高速船(16時50分発/約50分)17時40分頃 石垣港離島ターミナル→宿泊

【3日目】
9時頃 石垣港離島ターミナル→高速船(9時30分発/約15分)→9時50分頃 竹富東港 着後散策→15時50分頃 竹富東港→高速船(16時20分発/約15分)→16時35分頃 石垣港離島ターミナル→バス(約30分)→新石垣空港着

石垣島|八重山の空と海の玄関口

石垣島までは東京・羽田空港、大阪・関西空港、名古屋空港、福岡空港、沖縄・那覇空港、沖縄・宮古島空港から航空便がある。
島の北西部にある川平湾では天候や時間帯によって変わる海の色が見飽きない。潮の流れが速いため遊泳は禁止されている。

沖縄本島からさらに南西に約400km離れる石垣島。竹富島や小浜島、西表島など12の有人島と多くの無人島からなる八重山諸島の中心である。八重山諸島の多くの島々は西表石垣国立公園に指定され、原生的な亜熱帯林と美しい珊礁の海が残る別天地である。

東京・名古屋・大阪などから空路直行便がある石垣島は、各離島への移動の玄関口、アイランドホッピングはこの島を起点にしたい。八重山の多くの島が比較的扁平な形状であるのに対し、石垣島は北部に標高526mの於茂登岳が聳え、地域信仰の対象となっている。その山影を左手に見ながら、空港から最北端の平久保崎へ向かう。

心躍る海の碧さ

平久保崎の最先端、細い道を抜けた先に、すくと立つのが平久保埼灯台である。この高台からの眺めはまさに絶景。珊瑚礁に囲まれ濃淡に色分けされた海がどこまでも広がる。目の前には大地離島(だいちばなりじま)という無人島もあり、大潮のときには歩いて行くことができるという。駐車場東側の丘には、琉球王朝時代に海上交通の監視や通報機能を担った遠見台が置かれていた。火番盛(ひばんむい)とも呼ばれ、異変があった際には狼煙を上げて伝えたという。

平久保埼灯台

昭和40年(1965)初点灯。内部に入ることはできない。灯台から眺めると右手に太平洋、左手に東シナ海が広がる。

沖縄県石垣市平久保234-50 散策自由

白砂と透明度の高い海で知られるのが北西部の川平(かびら)湾である。川平湾は「川平湾及び於茂登岳」として国の名勝に指定、様々な珊瑚や色鮮やかな魚が泳ぐ世界はグラスボートで遊覧できる。また石垣島は、88星座のうち84の星座を観測できる星空でも有名。夜の川平湾は星空観賞にも向く。

翌朝は沖縄の郷土料理・ゆし豆腐で腹ごしらえして西表島へ。ゆし豆腐は豆乳ににがりを加えて固まり始めた状態の豆腐。滑らかでまろやかな食感は朝食に相応しい。早朝から営業する『とうふの比嘉』で出来たてを味わいたい。

とうふの比嘉

ミニゆし豆腐、玉子焼き、おからの味噌炒め、ミニご飯(おかゆもあり)が付くかりゆしセット600円を、写真のゆし豆腐大(+250円)に変更。豆乳はサービス。ゆし豆腐は自家製味噌や塩・醤油などで味わう。
創業70余年、当初は市場などで販売。3代目の比嘉明美さんら家族で切り盛りし、10時前に売り切れることも。

沖縄県石垣市石垣570
電話:0980・82・4806
営業時間:6時30分~売り切れ次第終了
定休日:日曜 28席

西表島|手つかずの大自然を満喫

石垣港離島ターミナルから、高速船で島南東の大原港へ約45分。北部の上原港へは約50分。
浦内川上流にあるマリユドゥの滝。2段に分かれ落差は約16m。遊歩道の途中にある展望台から眺めるのがおすすめ。

石垣島から船で約50分、沖縄県では本島に次ぐ大きさを誇るのが西表島である。東洋のガラパゴスともいわれ、イリオモテヤマネコなど希少な動植物が生息し、ジャングルや滝、河川が多様な景観を作り出す。港は北の上原港と南東の大原港があり、上原港からは県内最大の川・浦内川、大原港からはマングローブの流域面積日本一を誇る仲間川があり、カヌー、シュノーケリング、釣りなどのアクティビティが用意されている。

浦内川の支流をカヌーで散策。鬱蒼としたマングローブ林をのんびり進むのも一興。マングローブとは汽水域に生育する植物の総称。

たとえば浦内川では、河口から中流域までの遊覧船がある。根が蛸の足のように分かれるオヒルギ、根が板状のサキシマスオウノキなど、生い茂るマングローブを間近に観察できる。遊覧船を降りた先には、上流へ向かうトレッキングコースが設置。亜熱帯の森を40分ほど歩くと、日本の滝100選に選ばれるマリユドゥの滝に辿り着く。さらにその先には滝幅50mのカンピレーの滝がある。

竹富島|赤瓦が並ぶ伝統の集落

竹富東港へは石垣港離島ターミナルから船で約15分。
島中心部の集落の全景。赤瓦は風で飛ばされないように漆喰で塗り固められている。
瓦職人による家の守り神・シーサーは単体。

重伝建地区をのんびり散策

石垣島から一番近い竹富島は、掃き清められた白い道沿いに伝統的な家屋が立ち並ぶ。沖縄の原風景を思わせる景観は、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。赤瓦の屋根に魔除けのシーサー、屋敷を囲む琉球石灰岩の石垣(グック)や人の視線を遮断する塀(マイヤシ)、そして咲き誇るブーゲンビレアやハイビスカスが一体となり、穏やかな島時間を作る。

ぜひ立ち寄りたいのが竹富民芸館。約300年の歴史がある八重山ミンサーの展示や作業を見学できる。繊細な技術と織りの模様に込められた幸せや繁栄などの意味を知ると、じつに愛おしく感じる。

竹富民芸館

八重山ミンサー織の作業。
女性が男性に幅の狭い帯を贈ったことが始まり。5つ玉と4つ玉の絣(かすり)に「いつの世までも末永く幸せ」の意味を込めた。

沖縄県八重山郡竹富町竹富381-4
電話:0980・85・2302
開館時間:9時~17時
休館日:不定
入館料:無料

砂浜と遠浅の穏やかな海が広がるのが島西部にあるコンドイ浜。浜沿いを北上するとニーラン神カントウイ石が立つ。神々が五穀豊穣をもたらすため、船で上陸したとされる場所だ。多くの祭事がある竹富島には随所に神聖な地があるので無断で踏み込まないよう注意したい。

海の彼方から来る神々がこの石に船の縄を結び付けて停泊したとされるニーラン神石(カントウイ)。ここで旧暦8月8日に「世迎い」の儀式が行なわれる。

八重山の雄大な自然や伝統文化を満喫したら、石垣島へ戻り帰路につきたい。

取材・文/関屋淳子 撮影/藤田修平 yOU(河﨑夕子(西表島)) 地図イラスト/福田希美

サライ2025年6月号特集は『「離島」へ』

 

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