日本人の約8割が「疲れている」と回答するなど、疲労は現代的な“国民病”と言われます。仕事や人間関係のストレス、運動や睡眠の不足、スマートフォンへの依存など、様々な原因が指摘されますが、医学的に間違った「食事のあり方」を問題視するのが牧田善二医師です。新著『疲れない体をつくるための最高の食事術』が話題の牧田医師が解説します。

解説 牧田善二(まきたぜんじ)さん(糖尿病・アンチエイジング専門医)

昭和26年、北海道生まれ。北海道大学医学部卒業。久留米大学医学部教授などを経て、平成15年、糖尿病などの生活習慣病、肥満治療のための「AGE牧田クリニック」を開業。

調理法は「生」「蒸す・茹でる」がいい

動物はみんな、なんらかの「餌」を食べて命を繫いでいますが、火を加えて調理するのは人間だけです。

しかも、“最近の”人間だけです。

私たちの遠い祖先は、狩猟や採集で得られた食材を生で食べていました。本来、人間を含めたすべての動物にとって、それが自然なあり方なのでしょう。

加熱調理は、食材についた寄生虫や細菌を死滅させ、保存性を高めるという利点がある一方で、悪い変化ももたらします。その典型がAGEの増加です。

悪性の老化促進物質であるAGEは、糖質過多で血中にブドウ糖が増えることでどんどん生成されますが、食べ物からも体に入ります。食品そのものに含まれているだけでなく、加熱調理することで増えてしまうのです。

同じ食材でも、揚げたり焼いたりと高温で調理すると、よりAGEが増えることがわかっています。とくに、肉や魚などタンパク質は、高温調理によってAGEが飛躍的に増えるという弱点があります(図12参照)

「イミダゾールジペプチド」という優れた抗酸化物質が多く含まれることや、糖質が少なく血糖値を上げないという点で、肉や魚は疲労の予防・回復におすすめの食材です。

ですから、肉や魚は積極的に摂りたいのですが、なるべくAGEを増やさない調理法を心掛けましょう。一日の上限は7000KU(AGE量の単位)を目安にしてください。

寄生虫の心配がない魚は、刺身で食べるのがベストです。

肉や生食に向かない魚なら、揚げるよりも蒸したり茹でたりという食べ方をするといいでしょう。たとえば、鶏肉の場合、唐揚げにするより蒸し鶏や水炊きで。牛肉や豚肉も、焼くよりはしゃぶしゃぶを選びましょう。

ステーキやとんかつはときどき楽しむ程度にして、AGEを少なくする調理法で、より大きな疲労の予防効果を手にしてください。

***

世界最新の医学的データと20年の臨床経験から考案『疲れない体をつくる最高の食事術』

現代人の疲れは過労やストレスではなく、「食」にこそ大きな原因がある。誤った知識に基づく食事は慢性疲労ばかりか、肥満や老化、病気をも呼び込む。健康長寿にも繋がる「ミラクルフード」の数々を、最新医学データや臨床経験を交えながら、具体的かつ平易に解説している。

『疲れない体をつくる最高の食事術』
牧田善二/著 四六判208ページ 小学館刊 1650円(税込)

 

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