夕方になると足が重だるく、むくみや疲れがなかなか取れない……。そんなお悩みはありませんか? 「年齢のせいだから仕方ない」と思って諦めていませんか? 実はその疲れや冷え、むくみの背景には“腎機能の衰え”が関係していることもあるのです。

今回は、腎機能の低下によって起こる不調や、体を内側から整える漢方の知恵について、あんしん漢方の薬剤師で、漢方薬製剤の研究にも携わる碇 純子さんに伺いました。

1.腎機能の衰えはなぜ起こる?

腎は、体の水分や老廃物のバランスを整えるとともに、生命エネルギーの源ともいわれる臓器です。しかし、加齢やストレス、睡眠不足、偏った食生活などの影響で腎の働きが低下すると、「疲れが抜けにくい」「むくみやすい」「冷えを感じる」「耳鳴りがする」「夜中に何度もトイレに行く」といったサインが現れやすくなります。

漢方では、腎は“生命力を蓄える”臓と考えられています。つまり、腎機能の衰えは体全体のエネルギー不足とも深く関係しており、老化のサインとも言えるのです。

2.腎機能の衰えにはどんな漢方薬がおすすめ

1.柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)

ストレスによる肝機能の乱れに。
精神的な緊張やイライラ、不眠など“気の高ぶり”を鎮め、肝の働きを整えます。
肝は「気の流れ」を司る臓器であり、ストレスや怒りで働きが乱れやすくなります。
柴胡加竜骨牡蛎湯は、自律神経のバランスを整えて気血の巡りを改善し、心身の不調を和らげる処方です。

2.加味逍遙散(かみしょうようさん)

女性のホルモンバランスの乱れや、更年期による肝機能の低下に。
イライラ、のぼせ、肩こり、疲労感など、ストレスや月経不調がある方に向いています。
肝の「気」の巡りをスムーズにして、情緒を安定させる効果があり、
“怒りっぽい”“寝つきが悪い”“顔がほてる”といった症状の改善にも用いられます。

3.柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)

風邪のあとに体調がすぐれない、慢性的な疲れが抜けない方に。
肝と脾(消化機能)のバランスを整え、免疫力や回復力を高めます。
体のだるさや微熱、食欲不振、情緒不安など、肝の疲れが関係する“なんとなく不調”に向く処方です。

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3.腎機能の衰えを改善するために行いたいセルフケア

腎は、体の水分や老廃物を調整し、エネルギーを蓄える大切な臓器です。
加齢や生活習慣の乱れで腎機能が低下すると、疲れが抜けにくくなったり、むくみや冷えを感じたりします。
薬や漢方の力を借りながらも、毎日の生活の中で腎をいたわることが大切です。

ここでは、今日から取り入れられるセルフケアのポイントを紹介します。

1.体をしっかり温める

腎は「冷え」に弱い臓器です。冷えると血流が滞り、腎の働きも鈍くなります。
シャワーで済ませず、ぬるめのお湯に10〜15分ほどゆっくり浸かる習慣をつけましょう。
特に腰やお腹、足首を温めることで、下半身の巡りが良くなり腎を守ることができます。
腹巻きやレッグウォーマーで日中も温かさをキープするのがおすすめです。

2.適度に体を動かす

軽い運動は血流を促し、腎への負担を減らします。
ウォーキングやストレッチ、ヨガなどの軽い運動を毎日15〜30分続けてみましょう。
特に「下半身を使う動き」は、腎のエネルギーを高め、むくみ改善にも効果的です。

3.腎を養う食材を意識してとる

漢方では、「黒い食材」が腎をサポートするといわれています。
黒ごま、黒豆、黒きくらげ、くるみ、山芋、なつめなどを日常の食事に取り入れましょう。
また、体を冷やす生野菜や甘い飲み物を控え、温かい汁物や煮込み料理で体を内側から温めることも大切です。

4.睡眠で「腎の充電時間」を確保する

夜更かしが続くと、腎のエネルギー(精)が消耗し、回復力が低下します。
理想は、日付が変わる前に就寝し、深い眠りで体をリセットすること。
スマホやパソコンの使用を寝る1時間前には控え、心を落ち着けて眠る環境を整えましょう。

5.ストレスをためない工夫を

ストレスは腎だけでなく、全身の気血の巡りを乱す原因になります。
深呼吸やアロマ、軽い散歩など、自分に合ったリラックス法を見つけて心をほぐしましょう。
「休むこともセルフケアの一部」と考え、無理をしないことが腎を守る近道です。

4.内側から整えて、健やかな毎日を

腎は、私たちの生命力を支える「エネルギーの源」です。
その働きが弱まると、冷えやむくみ、疲労感、気力の低下といった不調が少しずつ現れます。
しかし、生活の中で少し意識を変えるだけで、腎の力を取り戻すことは十分に可能です。
体をしっかり温めること、バランスのよい食事をとること、無理をせずしっかり眠ること。
そんな一つひとつの積み重ねが、腎の働きを助け、体を内側から整えてくれます。
さらに、漢方薬を上手に取り入れることで、自然な形で巡りと代謝を高め、疲れにくくしなやかな体を育てることができます。

自分の体質に合った処方を見つけることが、健やかな毎日への第一歩です。
心と体をあたため、無理なく整える。
そんな“やさしいセルフケア”で、年齢を重ねてもいきいきとした毎日を過ごしていきましょう。

この記事の監修者

あんしん漢方(オンラインAI漢方)薬剤師
碇 純子(いかり すみこ)
薬剤師・漢方薬生薬認定薬剤師
/ 修士(薬学) / 博士(理学)
神戸薬科大学大学院薬学研究科、大阪大学大学院生命機能研究科を修了し、漢方薬の作用機序を科学的に解明するため、大阪大学で博士研究員として従事。現在は細胞生物学と漢方薬の知識と経験を活かして、漢方薬製剤の研究開発を行う。
世界中の人々に漢方薬で健康になってもらいたいという想いからオンラインAI漢方「あんしん漢方」で情報発信を行っている。

●あんしん漢方(オンラインAI漢方):https://www.kamposupport.com/anshin1.0/lp/?tag=221432a9sera0275&utm_source=sarai&utm_medium=referral&utm_campaign=251004

イラスト:にゃたり

 

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