コロナへの意識が薄い夫。過去に病気を患った私への配慮がない
2人の関係に大きな変化が訪れたのは、このコロナ禍が関係していました。あんなに好きだったおおらかな部分が見えなくなってしまったと言います。
「私は同棲と同時に転職していて、別企業の営業事務の仕事をしているんですが、今は在宅勤務がメインで、資料制作などを行っています。しかし、夫は完全な在宅とはいかずに、緊急事態宣言が出てからも週に1~2度出勤しています。それは別にいいんですが、すごくコロナウイルスへの意識が低いんです。外出自粛要請の時はランチに出かけていたし、仕事終わりにコーヒー屋でゆっくりしてくることも。さらには鼻が苦しいとマスクをしていても鼻を出しているんです。まったくマスクの意味がなくなるのに!そんなところにイライラすることが増えてしまって」
神経質になる理由には、由紀子さんの過去に患った病気がありました。
「私は34歳の時に初期の乳がんを患っていて、部分切除の手術で済んだものの、いまだにホルモン治療の投薬を続けています。女性ホルモンはお守りホルモンといわれているもので、それを完全に止めている状態なので少なからず病気へのリスクは増えている状態です。そんな私と一緒にいるのに、なぜ気を遣えないのか。このことについては何度も話し合いました。私へのリスクが多いことも話して、何度も徹底してくださいとお願いもしました。でも、私のことを神経質になりすぎだと嗜められるんです。あんなに好きだったおおらかな部分が今は大嫌いになってしまいました」
今は一緒に暮らしている状態だそうですが、接触は避けているとのこと。今後はどうするつもりなのか、最後に聞いてみました。
「『コロナ離婚』ということを考えているわけではありません。が、いくら自分だけがコロナを防ぐように気を張っていても、一緒にいるパートナーがそれでは意味がありませんよね。今はお願いして、スキンシップをやめてもらっています。それについて夫は少しイライラしてきているみたいですね。長時間一緒にいることだけではなく、こんなことがいくつも重なって、『コロナ離婚』ってあるのかなって考えてしまいます。これからどうなるのかはまだ考えられないけど、不信感は募っていくばかりです」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。