父の他界で義姉の態度はさらに図々しくなっていった
そんな中、藍子さん家族を不幸が襲います。元気で会社勤めをしていた父親が健康診断で引っかかり、再検査の結果、進行スピードの早いガンが見つかります。
「発見した時にはけっこう進行していて、手術はできない状態。抗がん剤での治療に臨みますが、父親は日に日に弱っていき、診断後7か月ほどで亡くなってしまいました。すごくショックだったんですが、気丈に振る舞う母親を前にずっと悲しんでいるわけにもいかなくて。父親の代わりにはなれないかもしれないけど、できる限り一緒に住んで母親を助けたいと思いました。何もしない義姉、そして何の役にも立たない兄には任せていられないですから」
父親がいなくなってから義姉の態度はさらに図々しくなっていきます。今までは手伝っていた晩御飯の準備や洗濯も母親に任せっきりに。そんな態度に藍子さんはブチギレ寸前だったそうですが、その怒りを制止させたのは母親のある言葉でした。
「まるで義姉を庇うように、『お母さんは家事が楽しいからやっている』って言うんです。それに『娘(私)と義姉が揉めることが一番嫌だ』と言われました。なんでそこまで母親が実家で我慢しないといけないのか、まったく理解できません。家事と孫の世話で落ち着ける時間がない母親は孤独ではなかったかもしれませんがちっとも幸せそうに見えなかった。でも、母親からそう言われてしまっては、私にできることは家事を手伝うことしかありませんでした」
義姉はその後2人目の子どもを出産したものの、新居を建てる気配さえないまま、実家のリフォームを強行したとか。兄は実家で暮らし始めた弊害で子ども化してしまったと言います。
「兄なんてまったく役に立ちませんよ。あの人は実家にいることもあって、夫や父親というポジションよりも、完全に母親の子どもに戻ってしまったという感じです。
新居のお金が貯まるまでの同居だと聞いていたのに、最近家の兄夫婦の部屋を畳からフローリングにリフォームして……。完全に居座る気ですよね。母親はまだ元気だからいいものの、体調が悪くなった時どうするのか。母親にパンツまで洗ってもらって何年も経っている兄夫婦が今後母親をサポートするとは考えにくい。私はおそらくこのまま結婚できないと思うので、貯めたお金で母親との二人暮らしを計画中です。悠々自適な老後を過ごしてほしいですから」
取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。