病気の時、自分を責める気持ちを救ってくれたのも、父親の言葉と行動力だった

景子さんは大学で出会った男性と25歳の時に結婚。その頃には父親との仲は普通に戻っていたそう。しかし、景子さんよりも父親と仲良くなったのは、なんと恵子さんの旦那さんだったとか。

「父親はやっぱり子供は男の子が欲しかったみたいで、私の夫のことをとても気に入ってくれて、結婚してからも家族行事に夫も強制参加になりました(苦笑)。今も2~3か月に一度のペースで、家族で集まる行事が組まれています。そのおかげなのか、父親との距離が一番近いのは夫かもしれません。夫はいまだに何も動かない父に対して、『これくらい自分でしましょう』と言ってくれるんです。母と私は心の中で『いいぞ! もっと言って!』と応援しちゃっています(笑)」

旦那さんが入ったことで家族関係が良好になっていった時、景子さんの病気が発覚してしまいます。沈んだ気持ちを助けてくれたのは、父の言葉であり、行動だったと言います。

「20代でガンになってしまって……。今ではすっかり元気なんですけど、何度もの検査から告知された時は気持ちが沈みました。告知は両親と夫の4人で聞いたんですが、その後父は私に向かって『事故だと思え』と言ってきました。その言葉は、今までの生活のどこが悪かったんだろうと、両親や夫に申し訳なく思って自分を責めてしまいそうになる気持ちを救ってくれました。さらには告知から2~3日後に実家に行った時、父の部屋には病気に関する本が山積みにされていて、色んなページに付箋が貼ってありました。『この医者がいい』とすべて調べていてくれて。今でも思い出して泣きそうになるほど嬉しかったし、心強かった。絶対に治すんだってその時に誓いました」

景子さんはその後の治療を無事乗り切り、現在は元気に生活しています。当時のことを振り返り、「父のことを厳しいという先入観だけでよく見ようとしなかったことを反省しています。父の教訓は昔も今も『全員一緒』。高校生の時にサボってしまった分、これからもここは守っていきたいと思います」と笑顔で語ります。

取材・文/ふじのあやこ
情報誌・スポーツ誌の出版社2社を経て、フリーのライター・編集者・ウェブデザイナーとなる。趣味はスポーツ観戦で、野球、アイスホッケー観戦などで全国を行脚している。

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